ただいまと言える場所




小さく笑いながら、小娘の髪を撫でてやると、少し照れたように小娘が微笑む


「懐かしい夢、見てました・・・」

「ほうか・・・ひょっとして、寺田屋におった頃の夢、かの?」

「・・・はい」


髪を撫でちょった手を、細い手がそっと掴み、柔らかな頬へと導かれる


「夢の中で、私、龍馬さんが帰ってきたら絶対言うんだ!って思ってて、でも眠っちゃってて・・・それで目が覚めたら龍馬さんが居たから」

「それで、寒かったかち、聞いたんじゃな」

「・・・はい」


こんなに暖かいのに、可笑しいですよね

くすくすと笑いながら告げられた言葉に、自然と顔を綻ばせちょると

ワシの手を掴む細い手が、その力を少し増し


「龍馬さん」

「なんじゃ?」

「おかえりなさい」


嬉しそうな笑みと共に向けられた言葉に、じわりと、胸が熱くなる



のう、小娘

京におった頃も、今も

おまんは、ワシの帰りを、いつも待ってくれちょる

ワシが帰ると、必ず『おかえり』と言うてくれる

待ってくれちょる人がおる

出迎えてくれる人がおる

それがどれほど嬉しいことなんか

おまんは、知ってくれちょるんじゃろうか・・・



胸ん奥から溢れ出てくる想いは、留まることをしらず

その想いを込めて

小娘、ただいまじゃ

そう告げると、花が綻ぶように、小娘が微笑んだ










そこにはいつも、笑顔が溢れる・・・









「・・・んー、まーま?」

「お、奏海、目が覚めたんか?」


こしこしと目を擦っていた奏海が、ワシの声に、驚いたように顔を向けた


「・・・・ぱーぱ?」

「おう、ぱーぱじゃ!帰ってきたぜよっ!」

「ぱーぱじゃっ!ぱーぱが、かえってきたがじゃっ!」

「あっはっは、ぱーぱがおらん間も、元気にしちょったか!」


興奮気味に飛びついてきた奏海を受け止めると、小さな手が、力いっぱいワシにしがみつく


「かなた、げんきに、しちょったぜよっ!」

「ほうか、さすが奏海じゃなっ!」

「ぱーぱ、ぱーぱ!」

「ん?なんじゃ、どうした?」


ぎゅぅとワシの服を掴み、奏海が嬉しそうに笑い


「ぱーぱ、おかえりなさいじゃっ!」


そしてまた


「ただいまじゃ、奏海、小娘」


笑顔が、溢れる・・・・





















龍馬倶楽部様、一周年おめでとう

これからもずっと

龍馬さんを好きな娘さんをいつでも迎え入れてくれる場所で

龍馬さんを好きな娘さんの笑顔が溢れる場所で

いてくださいね



〜終〜





【お礼コメント】
素敵サイト「Runatic」の更紗様より龍馬倶楽部1周年のお祝いを頂戴しました。
パパとママになった龍馬さん&小娘ちゃんの子育てストーリーです。
息子「奏海」はこの龍馬倶楽部主催で行った「父の日イベント」で生まれた子だから、ということで更紗様はこの子育てストーリーを書いてくださったそうです。
家族を全力で愛し守る龍馬ぱーぱ。
持ち前の明るさと優しさで家庭を包み込む小娘まーま。
そして天真爛漫な息子奏海。
この坂本一家はまさに理想の家族像ですね♪
この龍馬倶楽部も皆様にとってそんなあたたかい空間でありますように☆
更紗様、心温まる土佐弁親子夢をありがとうございました!
(2012.5.13)




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