だって貴方が好きだから
―――結局
「それで、君たちはいつまでそこで犬も食わない夫婦芝居を続けるつもりなんだい?」
「まったく、こんな朝から騒いで先生を煩わせるとは何事だ」
「姉さんも強くなったんスね‥‥」
「「あ‥‥」」
騒ぎを聞き付けてやって来た武市さん達の冷ややかな口調に放り出される形で、私達は半強制的に『でえと』に出掛ける事になったのだった
「よし、まずはここじゃな」
「え、ここって‥‥」
「にしし、一度小娘さんと入ってみたかったんじゃ」
二人で、京の町でも腕がいいと評判のほとがら屋を訪れると
まだ午前中だったからか、ほとんど待たされる事もなく撮影が始まった
しかしこの時代、ほとがらを撮影するのにはそれなりの時間がかかる
もちろん、その間私達はずっと同じポーズを取り続けなければならない訳で
「‥‥‥龍馬さん、ほっぺた引きつってますよ?」
「うぬっ」
洋風の椅子に腰掛けた私が小声で囁くと、傍らに立つ龍馬さんの体がぴくんと揺れた
「そ、そげな事言われてもこういう場所はいつもと勝手が違うしのう‥‥」
「ふふ、もう少しの辛抱ですよ」
技師さんに怒られないよう、こっそり交わす会話が楽しい
いつも元気で、お日様みたいな笑顔の龍馬さん
こんな風に情けない声を出してる所を見られるのって、きっと私だけなんだろうな
そう思ったら、心の中にじんわりあったかいものが広がって
(私のこの気持ちも全部、ほとがらに写せたらいいのに)
そうしたら私がどんなに龍馬さんを好きなのか、ちゃんと教えてあげられるから
私には剣を振るう強靭な体も、複雑な駆け引きで渡り合う知識もない
それでも龍馬さんが必要としてくれるなら、日本一のはちきんにだってなってみせる
手加減なんてしないから、覚悟してて下さいね?
『――――龍馬さん、私は貴方の事が大好きです』
私は、ありったけの想いを込めて写真機のレンズを見つめた
〜終〜
素敵サイト「Spiral」のはづき様より龍馬倶楽部1周年のお祝いを頂戴しました。
龍馬さんにでえとに誘われる……ッ!!////
最高です(*≧▽≦*)
ほとがら撮影中きっと龍馬さんはプルプルと震えていたりしたんだろうなとか思うと可愛さのあまりどうにかなっちゃいそうです(爆)
きっとここに集まる娘さん達の想いが本当にほとがらに写ったら間違いなくはみ出しちゃうんだろうな♪
はづき様、素敵なお話をありがとうございました!
(2012.5.13)
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