月曜日、今日は授業の後にモデルの仕事に行って、そのまま病院に行く予定だ。
固定してからはギブスで動かないようになっているから、あんまり痛くない。折れたときは流石に痛かったけど。

(人の力で折れるんだもんな、骨って)

センパイには秘密にしている、殴られたという事実。そんなことで折れるのだから案外脆いななんて、思っているとセンパイが車で迎えにきてくれた。
助手席に乗り込む、とセンパイがシートベルトをつけてくれる。
片手だと何かと不便だ。現にセンパイにはあんま触れないし、骨を折ってからの二週間まともに触れてない。

「…なんだよ」
「え?あ、なんでもねっスよ!」

思った以上にセンパイの事を見ていたらしい。
したいなぁ、なんて思ったけど片手ではどうも上手くいかないだろう、と欲求不満な俺の脳内が悲鳴を上げる。

病院で簡単に検査を受けた時、後ろから声をかけられた。

「黄瀬」
「緑間っち!どうしたんスか?」
「今日はこの病院で研修だったのだよ、そういうお前は、腕はどうだ?」

最近連絡をとっていなかった緑間っちにまで知られていて少し恥ずかしくなった。

「あー、まぁ、ぼちぼちっスねー」
「無理は禁物なのだよ、怪我でおった骨折よりも、人から受けた骨折の方が折れかたが複雑な場合が多いから気をつけるのだよ」
「流石、優秀っスね、」
「そう思うならお前も頑張るのだよ、」

じゃあな、と残して緑間っちはその場を後にした。
センパイの待っているロビーに行くと、すぐに車に乗り込んだ。

「なぁ、」

先に口を開いたのは珍しくセンパイだった。

「…はい?」
「お前、俺に隠し事してるだろ」
「してな…」
「俺、知ってるんだからな、その骨折が事故じゃないって!」

センパイが声を荒げる。
俯いたままで表情はよくわからない。
センパイに知られていた。

「なんで、俺に言わなかった…?」
「それは…」
「俺の追っかけにやられたからか?」

なんで、そこまで知ってるんスか、センパイ。
どうして。なんで知ってしまったの?
貴方を、傷つけたくなかったのに。

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