どんなに手を伸ばしても、貴方には届かないんでしょうか。

だから、狡いけど、嘘でも俺だけのものにしてもいいんでしょうか。

本当は伝えてしまいたいけど、そうしたらこの関係は崩れてしまうんじゃないでしょうか。

それが俺は怖い。

逃げてるんでしょうか。

違う。

遠ざけてるんです。

許してください。

こんな俺のことをきっと"偽善者"と呼ぶのでしょうか。



ダメだと思っても歯止めが効かない。

「センパイ、抱かせて?」

俺とセンパイしか残ってない夕方の部室。
耳元で甘く囁けばセンパイは俺に体を"貸して"くれる。
だからそんなセンパイに俺は甘えてしまう。
この間だけ甘えさせて、そうでもしないと俺は壊れてしまうんです。

「…っ、…ふ…ぁっ…」

ギシギシとロッカーが音をあげる。

「い、…たいっ…」

俺にしがみつくようにしているセンパイの体。背中がロッカーで擦れて真っ赤になっている。すごく痛そうだけど、そうは言わない。
センパイと目が合った。
普通ならキスをしてもいい雰囲気。
だけどしない。
してはいけない。
してしまったら益々止まらなくなってしまう。
だから代わりに、愛を囁きます。

「センパイ、"愛してる"。」
「……っ、なら、…キス、しろ…っ」
「え…?」

センパイが今までこんなことを言ったことはなかった。

「…愛してんなら、キスぐらいできる、だろ?」

出来ない。
敢えてしないようにしているのに。

どうして貴方は俺の踏み込んではほしくないところまで入ってくるんですか。
卑怯な人だ。

「…出来ねぇんじゃん…ばか…」

固まっていた俺を見て、センパイが目に涙をためて、悲しそうな顔をした。
違う。
そんな顔してほしいんじゃない。
違う。

「んっ!?」

ロッカーに押し付けるようにして、唇を重ねる。
センパイの口が少し開いたら、無理矢理舌を捩じ込む。

「んんっ!!…ぁっ…んっ…」

ぴちゃぴちゃと水音が響く。

「はぁ…は、ぁ…っ」

綺麗。
顔を赤くして、息を荒くしているセンパイはすごい綺麗だ。

「好きです。」

代わりとかじゃないんです。
貴方が一番なんです。

だから、本当の俺の気持ちを知ってください。

「愛してます。」

俺も貴方に溺れていいですか。




END
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特別「Moreover, I am addicted to you.」の続きな訳でないんですがー…

それをなんとなく、いやかなり意識した作品になりました…

そうですね、まぁ2つを通してみるほうがいいかもしれません!

ありがとうございました!
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