広い体育館に、試合終了を告げるホイッスルが響き渡る。
終わった。
夏が、終わってしまった。
俺があの時、ミスをしなければ勝てていたのに、俺のせいで逆転を許してしまった。
涙を流す先輩の横で、ただただ、俺はその場に立ち尽くした。
『お前のせいだよ、さっさと辞めろよ。』
同学年に呼び出されてはそう責め立てられた。
そんなの俺が一番わかってるんだ。
辞める、それで先輩達のためになるなら、辞めてやる。
でもそれが悔しくて、どうしたらいいのかわかんなくて、やっと俺は泣いた。
それからは部活を休んだ。
辞めると言っても、監督が許してはくれなかったから。
…それが俺には辛かった。
『早く辞めろよ』
頭に響く、声。
先輩達の涙。
OBからの非難。
全てを投げ出したくなった。
『…だからお前がやるんだ』
部活に来いと、監督に呼び出されたのは試合から1週間後。
『笠松、その悔しさを一番わかるのは誰だ?お前だろ?それをバネにしろ、すぐに取り戻せる。』
わけない、俺にはできない。
そんな期待が、辛かった。
久々に部活に復帰し、監督の話が終わり、体育館に入ると、チームメイトからの視線を感じた。
『アイツ、辞めたんじゃなかったのかよ』
全部、全部が耳に入る。
今すぐ逃げ出してしまいたい。
そんな気持ちで、部室に向かって歩いて行くと、目の前に二人の人影が立ちはだかり、その影が俺に向かって手を振り上げる。
殴られると思ったのだ。
覚悟して目を瞑っていたのに、感じたのは頭の上の重み。
おそるおそる目を開けると、そこには微笑んだ小堀と森山が俺の頭に手を乗せている。
『おかえり、幸。』
『んな、辛そうな顔ばっかするなよ、笠松。大丈夫だから』
まるで味方だと言ってくれるようなその温かい声に涙がでそうだったが、ぐっと堪えて笑う。
『わかってるよ、シバくぞ』
『よく言った!』
そして、笑うと、久しぶりに安心できた。
今で思うと、二人にはたくさん支えられたと思う。今でも支えられてるけど。
けど、今でもパスを出すときに、怖いと思うことがある、
またミスして、負けたら?
そう思うとパスが出せなくなるが、大丈夫だとでもいうかのように仲間が笑ってくれるから、俺はそれに答えなきゃいけないんだ。
だから、またその時は、俺を支えてくれるのかな。
END
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黄笠じゃない!???←
なんだか始め考えてたのと全然違うものになってしまいました(笑)
過去の夢を見て魘される笠松センパイを書く予定が…(;A´▽`A
なんだか某動画サイトで965の動画を見たら益々海常高校が中毒です←
好きすぎて辛いです。←
また、こういうの書きたいですね!
ありがとうございました!!