昼休み。
いつものように弁当を食べてからバスケをしようと体育館に行く途中、呼び止められた。
元バスケ部の一年生。
やる気がないなら辞めろと、前に俺が言ったら辞めた部員達だった。
「…なんだよ、」
「いやぁ、偶然見つけたらから声かけただけじゃないですか〜」
偶然でこんな都合よく集まる筈がない。
「何か、用?ないなら、俺、忙しいから。」
その場から立ち去ろうとすると、後輩達に腕を捕まれる。
「そんな冷たいこと言わないで、俺らと遊びましょうよ、」
そういって強引に連れ込まれたのは最近は使われていない旧体育館倉庫。
マットに押し倒され、5人の後輩に取り押さえられる。
その中の一人が、小さなボトルを取りだし、俺に無理矢理飲ませる。
「っ!?…けほっ、かはっ!!…何、しやがんだっ!!!!」
強く睨み付ければ、後輩が笑う。
「すぐ、気持ちよくなりますよ?」
「だから、なに…?ひっ…!」
一人の手が服の上から胸をまさぐる。
ただ触られているだけなのに、すぐに体が疼く。
「…はっ…ん………ふ、っざけやがって…んぁっ!!」
「ね、気持ちいいでしょ?」
すると下半身に手を伸ばされ、自身を服の上から弄れる。
「やめ……っ、は、ぁっ、んっ!」
頭が真っ白になって、何がなんだかわからなくなる。
「持ってきたぜ!」
すると倉庫の中にまた、一人はいってくる。そいつの手には見覚えのあるバッシュがあった。
「悪いね、センパイ。」
パシャ、と音がしたと同時に薄暗い倉庫に一瞬光が指す。
一人が携帯で俺を撮った。
「…っ、てめぇらっ!……あっ!んんっ!!」
また刺激を与えられ、抵抗が出来なくなる。
「仕方ないでしょ、こうするしかないんですから…黄瀬に何かする為にはセンパイを使うのが一番いいんで、」
黄瀬、
その単語ではっとなる。
そいつらが今、持ってきて乱雑に扱ってるのは黄瀬のバッシュ。
「なんで、そんなことすんだよ!?」
「黄瀬が気にくわないから、…何がキセキの世代だよ、俺らは中学時代、そのキセキの世代の奴等のせいでバスケを無茶苦茶にされた、…そのお返しですよ。」
「だからって!!」
ぐしゃ、と嫌な音がする。
黄瀬のバッシュを後輩が踏みつける。
何度も、綺麗だった元の色がわからなくなるくらいに、何度も。
自分の中で、何かが切れた音がした。
その後のことは、あまり覚えてない。
気付いたら、後輩が倒れていて、
俺は黄瀬のバッシュを守るように抱えていて、
手にはうっすら血が付いていた。