イジメ反対! 「ねーねー、リタっちぃ〜。おっさん疲れたから代わってくんない?」 「嫌。今いいとこなんだから」 「青年〜…」 「断る。たまには働けよ、おっさん」 「少年なら、わかってくれるよね?」 「レイヴンが男くさいの嫌って言ったんでしょ」 「もー!!なんなのよ!おっさんばっかり戦ってるじゃない!イジメ反対はんたー「あー!もう、うるさい!!!!」 「まぁまぁ、レイヴン。あともう少しで素材も貯まりますから、ね?」 「それとも、私達と一緒に戦うのは嫌なのかしら?」 「ワォン!」 新しい武器を作るために素材集めをしている一行。あともう少しで目標の素材が集まるという頃に、ずっと戦闘に参加していたレイヴンがぶーぶー文句を言い始めた。 「ほんと、レイヴンてダメな大人だよね…」 カロルが遠い目をしながら呟く。 『そんなことないですよ!ホラ、シュヴァーンさんのときとかスゴクカッコイイじゃないですか!』 今まで黙ってやり取りを見ていたななしが慌ててフォローを入れるが。 「それって、おっさんのときはダメってことじゃない」 『あぅ…』 リタの鋭いツッコミに撃沈するななしだった。 とにかくレイヴンが疲れたとうるさいので休憩をとることにした。 「ほれ、これでも食え」 そう言って、ユーリが全員に配ったものは… 「わぁ!ユーリ特製クレープです?」 「おいしそー!」 甘党ユーリお手製のデザートが振舞われた。しかし、あきらかに不満そうな人物が一人。 「何コレ嫌がらせ?」 甘いもの嫌いのレイヴンだ。 「疲れたときには甘いもんがいいんだぜ?」 そんなユーリの言葉を聞きながら、レイヴンはクレープと睨めっこしている。 『じゃあ、私が食べてもいいですか?』 そう尋ねてきたのは、レイヴンの隣に座っているななしだった。 「ホント!?ありがと、ななしちゃ「甘やかしてはダメよ、ななし」 「そうよ、そんなおっさん放っておきなさいって」 「ひ、ひどい…」 よよよ…とレイヴンが泣き真似をする。 「でも、ななしってレイヴンに特別優しいですよね」 『だって皆さんがレイヴンさんをいじめるからですっ!』 少し声を荒げたななしに驚く一同。 「おいおい、別に本気でいじめてるわけじゃあ…」 「そーなのよ、ななしちゃん!青年なんて、いつもおっさんに床で寝ろとか言うのよ〜!」 「なっ…!?」 『ユーリさん…酷いです…!』 明らかに目が怒っているななし。 「ってななしちゃん!冗談よ、冗談!」 悪ノリしたレイヴンもさすがにマズイと思ったのか慌てて撤回する。 『そうなんですか?なら…いいですけど』 そう言いながら、少しむくれた様子でクレープを頬張った。 「ねぇ…もしかしてななしって…」 「レイヴンが好きなのかしら?」 『ゲホッ!!』 カロルが言いにくそうに尋ねようとすると、ジュディスがその先をストレートに言ってしまった。 それを聞いたななしが思わずむせる。そしてそのまま、真っ赤な顔でジュディスの方を見て固まってしまった。 「ななし?」 エステルの呼びかけにも無反応だ。この場の全員が「図星か…」と思っていると 「〜っ!!ななしちゃ〜ん!!俺様も大好き〜!!」 周囲にハートマークを撒き散らしそうな勢いで、レイヴンがななしに抱きついた。 『ふぇ!?///』 「ちょっとおっさん!公然わいせつで騎士団に突き出すわよ!!」 「わいせつじゃないもーん。おっさん達ラブラブなのよん?ね、ななしちゃん?」 レイヴンの胸にすっぽり収まっているななしも、顔を赤くしながらコクコク頷く。 「あ、あほくさ…」 「よかったですね!」 「熱々ね」 「ま、これでおっさんがジュディ達にちょっかいを出すことはなくなるわけだ」 ユーリがニヤニヤしながら言い放つ。 その言葉に一瞬ハッとしたレイヴンだが、腕の中のななしが心配そうにコチラを見上げているのをみて 「もっちろんよ〜!!」 そう言いながら、さらにななしを抱きしめた。 休憩後も素材集めが続いたのだが 「ななしちゃ〜ん!俺様の愛を受け取って〜!」 『は〜い!』 戦闘中にもかかわらず、二人の周りにはまるでアリーヴェデルチが発動されたかの如くピンク色の花が舞っているように見えた。 「なんか前よりウザさ倍増なんだけど、特におっさん」 「あら、いいじゃない」 「でも、ボク達入りにくいよ…」 「いいんじゃねーの?おっさん、やる気出したみたいだし」 END 『レイヴンさん素敵です〜!』 「ほんと!?俺様照れちゃう〜」 「…悪いなデューク、あいつらは…気にすんな…」 「…うむ」 ----------------------- あとがき ラスボス戦でもイチャパラするバカップルが書きたかった(笑) index; |