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唐突だが、俺には18、歳の離れた妹がいる。





 人にケーキ買ってこいと言ったり、タオルも下着も持たずに風呂に入ったりする馬鹿女だが。







**
 何回こいつはいえばわかるのだ? という疑問は、家庭内で家事なり何なりを受け持つ者なら誰でも思うことはあるだろう。
 今年34になる大の男がそう思うのだ。世の中の主婦の皆さんには頭が下がるというものである。
 ザァザァと激しい雨のような音がリビングを抜け、玄関先まで聞こえてきた。
 さっき、玄関の鍵を開けてすぐにリヴァイは、つんのめる。
 乱暴に脱ぎ捨てられ、左右逆の方向にお散歩している白い運動靴に躓いたのだ。
 鼻先からパタリと玄関の床に落ちるほど酷い自分の汗も、妹の愚行も。もともと悪かった彼の機嫌をさらに悪化させた。

(……っち、あのズボラ女が……どーせ、脱衣所の扉も閉めてねぇんだろ……犯すぞ、コラ)

 外は熱い。蝉がその生を盛大に謳歌している。
今朝エレンを車で送り出す直前まで見ていたニュースでは、今年一番の猛暑日といっていた。高校生が家に帰ってくるこの時間まで、見ての通り暑さだ……真昼間に買い出しに行かなくて正解だったのだろう。
最近、妹が『似合うと思って』と買ってきた、黒い薄手のV襟の服。
そこから覗く彼の深い鎖骨にまで、汗が溜まっている。紫外線よけの、ノーフレームの眼鏡も心なしかズレていた。

リヴァイは大きく溜め息をつくと、片手にぶら下げた袋の中で、買ったものが悪くならないうちに冷蔵庫へ急ぐ。
その前に、念入りな手洗いうがいをしたのはいうまでもない。


**
 リヴァイは在宅で翻訳家の仕事している。社会人になって数年はかつての知人・エルヴィンが編集長を勤める出版社で働いていたが、優秀な部下揃いなのが、かえって仇をなし……自分が後輩の出世街道を塞いでいる状況になってしまった。
 勿論、仕事仲間にそう直接言われた訳ではない。だが、独立しハンジのようにフリーライターをやっていく気も、大手出版社など大きな組織に組み込まれる気もなかったので、リヴァイは独立もという形は取らず、在宅勤務という道を選んだ。

 ――――――と、いうのが表向きで。

 
 事実とは異なる。

 
実は彼の妹……エレン・イエーガーが高校入学のため上京してきたのである。

両親は、彼女に家業である医者を継いでもらいたいようで、地元の私立校を強く望んだが、当の本人にまったくそう気はなく、兄が通った高校に行きたいと都立の高校にやってきてしまった。
そうなると、誰が一番苦労するか。―――当然、預かる側の兄・リヴァイである。
伊達に1人暮らし(寮は何もかもが共用で、潔癖症のリヴァイには明らかに合わないのでマンションを借りた)を十数年やってない。両親が頼み込むのも、無理のないことである。
食事、家事、学校までの送り迎え……歳をとって生まれた念願の愛娘を甘やかしたいだけ甘やかした両親のツケをこうしてリヴァイが払うことになった。


というのは、対両親向けのカモフラージュで。






 実際には、歳の離れた恋人の甘い同棲生活が始まっただけの話だった。





**
(――ったく、アイツももうちょっと親父とお袋にうまいこと言えなかったのか? 人がどっっっれだけ、テメェとのことがバレねぇように気を遣ったのか分かってないんだろうな。ああ、そうだろうとも。……盆や正月に帰ってテメェをドライブに連れて行くとかいって、実家から掻っ攫ってホテル行くのにも、家の書庫でキス一つするのにも、どれだけこっちが神経すり減らしたと思ってる……ったく、よ)

バフッ、と力任せに冷蔵庫を閉める。ちなみに黒い両開き式の冷蔵庫だ。
エレンが食べ盛りだろうと思い、早々にミネラルウォーターしか入っていない小型冷蔵庫からシフトチェンジしたという訳だ。結果として兄の予想は的中している。
アーチェリー部に入ったエレンは、まぁ食べる食べる。細いあの身体に真面目にブラックホールの存在を疑ってしまうほど、食べる。
リヴァイは1人暮らしのとき、基本的にサプリメントとささ身やハムなど、炭水化物はほとんど外食のときしかとらなかった。意識してそうしていた訳ではない。そこにあるのは、だらだら紅茶を飲みながら、仕事をしていると腹空かないという単純な理由だけである。

朝食は本人の希望で、腹もちがいい和食で。
焼き鮭の半身、ホウレン草のごま和え、豆腐とわかめの味噌汁、卵焼き、フルーツ少々。
昼食は、ご飯だったり、サンドイッチだったり、その日のリヴァイの仕事の進み具合やエレンの料理へのやる気次第で変わる。
夕食は、土日はエレン担当。肉が多い。平日はリヴァイ担当で、魚や鳥肉もの多め。

……というのが、イエーガー兄妹の食事メニューである。
これだけを見ても、遅く生まれた妹を馬鹿みたいに手間をかけ、甘やかしているのが両親だけではない、と伺える。
 最近結婚した例の同僚ハンジが、たまにこのマンションを訪れるが……妹との共同生活が始まってからは、なぜがタッパ自参でやってくるようになった。
 年下の夫に食べさせるらしい。

(……いや、テメェが作れよ)
 
 と、味噌汁用の鍋に水を溜めながら、リヴァイは突っ込みを入れた。
 しかし、あの烈女と一緒になったと言うだけでも、生活費を出してやりたいぐらい尊敬するので、あの男にやるなら、まぁいいか……とも思うリヴァイである。


「――――――っさて、夕飯の下準備はあらかた済んだ。あの馬鹿女なかせてくるか」


 汗で重たくなった上着を勢い追いよく脱ぐと、よほど買い出しが堪えたのか……若干だるそうな足取りで、バスルームへ向かう。
 その在宅翻訳家には見えない……どこかのボクサー並の肉体美を惜しげもなく曝す。
 どうも家にこもりがちだと、身体がなまるのでジムに行くのもリヴァイの習慣のひとつである。
 特に肩甲骨から背にかけての滑らかに盛り上がった曲線は、妹より小柄な兄には見えないほど筋骨隆々とし、素面で見ると見ている方が緊張してしまう。



 ちなみに『なかせる』という意味は、彼の言った通りの意味である。




**
「あっるこーあっるこーわたしはぁぁげんきぃぃいいあっるこのだいっすきぃいいどぉんどぉんゆっこぉお」

 酔っぱらっいか? と確認したくなるテンションの歌声が風呂場で反響している。
 リズムに合わせ、時々ばしゃばしゃと音がするので、湯船の中で手拍子か何かしているだろう。曇りガラスの向こうで、黒い丸……エレンの頭が、小気味よく揺れた。
学校で何かいいことでもあったのだろうか。
大抵機嫌が悪い時は、リビングのソファーでリヴァイの仕事が一区切りつくのをぶぅ垂れたまま待ち、兄が新しい紅茶を入れに通りかかるとマシンガンのように愚痴をいってくる。
 なので、この歌声からすると機嫌は上々なようだ。

「さかみちーとぉんねるーくさあっぱらぁああああ」

 しかし、なかなかの幼稚園的な美声である。ちょっと音程が外れてるところが。





「いっぽんばしにぃぃいいいいいでぇこぉぼこじゃ……じゃ……ジャリジャリ?」
「――――――――……『じゃりみち』だろ馬鹿かお前」
「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああちょ、マジ兄貴っっっ!? いつ帰ってきてたんだよっっっ!? つーか、いつからそこのいんの!?」
「お前が元気よく歩いてる辺りから、か」
「初っ端じゃねぇか」
「ってか、お前、友達とカラオケいってまさかコレ元気よく歌ってんじゃねぇだろうな」
「心配しないでっ! ルージュの伝言だから」
「ジブリから離れろ」

 両親は妹に何を見せ続けていたのか……まさか、こんなところに影響が出ているとは思いもしなかっただろう。
 まだ、リヴァイが高校生だった頃に冬休みに実家に帰ってみると、幼いエレンが頭に大きな赤いリボンつけて『にいちゃ、じじ! じじほしいっ!!』とせがまれて、じじって何だ?と言ったら、強制的にアニメ観賞会をされたのを覚えている。
 幼児はボキャブラリーが少ないため、相手に自分の言い分を伝えるためなら、手段を選ばないのが世の常である。
 それ以来、エレンが小学校を卒業するまで、某アニメーションシリーズを見せられたものだ。

「…………ジブリは置いといてだな……兄貴、何してんの?」
「風呂に入ってる」
「やめんか早く出ていけっ!!! あとで入れよ……俺、今日泡ぶろだから、シャワー使うんだよ」
「――――――エレン」
「ん?」
「今日は金曜だ」

 リヴァイは、もう一度言った。
 母親譲りの猫目な妹とは違い、黒く濃い切れ長い瞳がエレンを見据える。
 兄はもう一度、眼鏡をするりと外しながら、はっきり言い放った。

「エレン、今日は金曜日だ。――……だから、テメェも風呂に入ってんじゃねぇのか」

 泡だらけのバスタブに彼の最愛の妹は浸かったまま硬直する。
瞬く間に、ばぁぁあああああ、と顔が茹でられたように赤く染まった。口から『ち、っちがっ』と漏れているので、風呂でカラオケ大会していたのは、本当に学校でかいた汗が気持ち悪かっただけなのだろう。
 しかし、反射的に泡風呂の下で、彼女が若干内股になったのを兄は気付いていた。
 
(そう、お前がそういう風になるようにしたのは……俺だったな。何年も何年も待って)

 上半身裸のリヴァイが、ずぃとバスタブとの距離を縮め、その淵に手をかける。
左手を奥の淵にもっていき、エレンと彼の鼻先は触れ合う。息を呑む妹。濡れた……自分と同じ黒い前髪を……上げた右手の人さし指だけで分けてやる。いつものように、真ん中から。
そんな些細なことでさえ、急に緊張したエレンを、更に固まらせるのには十分なようで。
小さく『兄貴……っ』と悔しそうに呟き、リヴァイを責める。
 責められたところで、止める気など欠片もないが。

「――――……どうする? 米はまだ炊けてねぇぞ」
「〜〜〜〜〜〜っぅ、さいッッあくだなっっ!! ……っぅうう!!」
「素敵なリヴァイオニイサマの間違いじゃないのか? は、こんなに歳が離れた娘盛りの妹を大変満足させられる身体で、なおかつ甲斐甲斐しいんだからよ」
「死ねオッサン」
「言ってろ」




 ねぇ、汗は? ……と呆れ気味にエレンに小さく聞かれたが……どうせまた汗だくになるので、今だけは潔癖の称号を置いておくことにする。
舐めるか? と切り返したら、軽く頭を妹に叩かれた。




**
 自分と妹の本当の関係を知っている人間には、よく言われるが……別に幼女趣味な訳でも何でもない。
 事実、リヴァイはエレンとそういう関係になる……数年前まで、社会人の女性ばかりとと付き合っていた。もっとも、行きずりじみた付き合いに過ぎなかったが。
 ただ言えることがあるとするならば……リヴァイという男は、他人が嫌いだ。
というか、その嫌悪という感情さえもっていない。ただひたすら、無関心なのだ。
 他人にとって血のつながりが恋愛しない理由になるなら、リヴァイにとって『家族』という繋がりは立派に恋愛をする理由になるのだ。
 そこが一番、理解されない部分だろうが……リヴァイはそう思っている。
 この過ぎた潔癖症が性癖にまで影響しているのかどうか。
 そもそも妹を自分の歪んだ生き方に巻き込んでしまっていいのか。
 何度も考えたが……結局は、エレンを他人なんぞに渡したくないというところに行きつき、思考はそこで毎回止まる。


もういいのだ、エレンさえいれば。


「は……ん、ぁっ……に、さ」
「は…、」
「んんっッぁ、」
「……エ、レン……」

 さっきの体勢のまま深く口付けをする。バスタブの中でエレンの足は、もどかしそうに小さく動き続けている。リヴァイは水面が泡だらけで……乳首の位置が分からなくなるほど、初心じゃない。妹の片頬に添えていた右手を顎、首筋、鎖骨……と下ろしていき、きゅっとそれを強く摘まんだ。
 より高い声が漏れる。湯が波打った。

「ッ、あッ…!」

 かりかりと掻くようにいじりながら、リヴァイはズボンを吐いたままバスタブの中に入る。エレンとのセックスで、リヴァイは挿れる直前まであまり下を寛ぎたがらない。
 男という生き物の余裕のなさなど、どこを見れば一目瞭然か……そんなの男であるリヴァイが一番よくわかっている。だから、妹にそういう面はできるだけ見せたくない。
 兄としての矜持を、妹との逢瀬で保とうとするなど、あべこべな気もするが。
 
(――――そもそもこんな関係な時点で、矜持もクソもねぇか)

「んっあ……ぁあ、あっ、……ん、ぅ」

ちゅく…、とエレンの足の間に入ると同時にまたキスを再開する。
 細い足はリヴァイの大腿部の辺りで、閉じようともがいているが……エレンの内腿が当たるたびに、兄は興奮していく。綺麗に分けた彼の前髪も、今は乱れがちだ。
 ばちゃばちゃと音を立てながら、角度が違うキスを繰り返しつつ、リヴァイの骨っぽい身長の割に大きな……手が、エレンのへその下に伸びていく。
 へその下を少し進むと、狭い範囲だが……毛の感触がある。そこをわざと、リヴァイは撫で回した。途端にエレンの目がつり上がり、唇を繋げたまま怒鳴ってきた。

「んんんんッッ!!! ん、ふんんんんんぅ!!!」
「……っ、ふ」
「んんぅぅうう〜〜!!! ん ん ん んッッ!!!」

 へ ん た い と言っているのだろう。しかし、それは今の状況下では、お褒めの言葉のようなものだ。リヴァイの肩をばんばん拳で殴って来る。硬い背筋に覆われたそこをいくら叩いてもダメージなど、ほんの気持ち程度だ。
 撫で回す動きを止め、ずぐっと人さし指を秘部に差し込む。殴る手はへなりと動かなくなり、弱くリヴァイの肩のあたりに落ちる。

「んっ…やめ」
「いいぞ、ここは風呂だ。そのまま石鹸使って突っ込んでも。けどそれじゃ、芸がねぇだろ」
「そ、いう……も、んだい、かよ……ァ、」
「――待ってろ、湯が全部なくなったら、可愛がってやる」
「は?」

 何かの栓が外れる音がしたと思ったら、水かさが減っていく……リヴァイが風呂の栓を抜いたらしい。見る見る内に、湯船は空っぽになり……いるのは、ずぶ濡れでいい具合に赤く染まった妹の身体だ。
 エレンは反射的に、胸を両手で隠す。

「……っな!! ちょ!!!!!!」
「お前、股に俺の身体挟んで乳だけ隠したって、あそこ見えっぱなs……」
「ちょ、じゃあ、み、見んなよっっ!!! 電気消してよ、兄貴っ!!」
「だが断る」

 


**
結局、夕飯の時間は下りに下って9時になってしまった。しかも、みっともない理由で。
流石に空になったバスタブの中で色々なものにまみれている妹に、夕飯を作らせるほど鬼ではなかったのか、リヴァイはキッチンにひとり立っていた。
風呂場からは、また長いシャワーオンが聞こえてくる。
リヴァイは実に心当たりがあったので、早く出てこいとは言わなかったし、言えなかった。
そうこうしている内に、サラダ、グリルチキンに味噌汁は変更してオニオンスープになり、兄は手際よくそれらをテーブルに並べる。コップを並べている頃に、エレンがスリッパをぺたぺたいわせて、ダイニングに入って来た。
足取りは重く、傾れ込むように椅子に座りこむ。

「―――――――……っとに、リヴァイオニイサマはほんとリヴァイオニイサマだな」
「だろう? 若者の性欲に誠実に応えたまでだ文句は受けつけねぇぞ」
「何が若者のセイヨクだよっっ!! ただのむっつりなオッサンの手加減知らずなボーコーだろボーコォ!!!! 誰に似たのこのオッサン!!!!」
「お前の親だろ親」
「だとしたら俺もう実家帰ったら父さんと母さんに目ぇ合わせらんないわマジで」

 んじゃ、ともかくイタダキマスと妹は、リヴァイが作った食事を食べ始めた。
 自分用のワインを開けながら、リヴァイはお姫様のご機嫌をとる。

「――……晩飯。喰ったらケーキがあるぞ」
「! ほんとっ!?」
「ああ。アップルパイ」
「やったね!! ありがと、兄貴!!」

 まくまくと本当においしそうに自分が作った料理を食べるエレン。それを眺めつつ、自分も同じ食事をする。幸せだ、この上なく。
 一緒に暮らして、肌を重ねて。同じ料理を食べて。眠って。おはよう、と誰より先にあいさつする。
 
ふ、と。
リヴァイは、よく友人たちに言われる言葉を脳内で反芻した。


 ――――後悔しないかい?


 彼らの言うことが分からないわけではない。
 いずれ両親に自分たちの関係は、ばれるだろう。時間の問題だ。少なくともこのまま彼女が高校を卒業し、大学に進むかどうかすれば、いつまでこの家にいるのかという話になる。
 もし、そこで上手く誤魔化せたとして、その数年後にはこの愛娘の結婚やら何やらに、あの両親は必ず意見してくるだろう。
 そうなれば、ここに一緒に住む理由をつけることはできない。
あと、5年かそこらで、自分も……――リヴァイが唯一愛する少女も選択しなければならないのだ。

思い返せば。気付いたら、好きになっていた。愛していた。

 初めて抱いた日。妹は何度も何度も『どうして?』と聞いてきた。
 揺さぶられながら、あの琥珀の瞳を涙でいっぱいにして、責めるように、乞うように汗だくになって、夢中で腰を振る自分に。

(――――……そんなのな、俺が聞きてぇよ。何で妹なんだ、何でお前なんだ。……何でお前は俺の妹なんだ。どうして俺はお前の兄貴なんだってな)

 他のどんないい女を、自分を愛していると、一生ずっと居ようと言う女を抱いても。
 リヴァイはその姿に心動くことはなった。
 髪の短い、眼の大きな女とばかり寝た時期もあった。けど、他のどんなものもエレンに代わることはできないのだ。

 そう、極論すればエレン自身でさえも。

 自分の傍から離れてしまうなら、許せない。
 代わりがないものを本気で愛した男を置いていくなど、絶対にさせない。

一生彼女にとっての男は自分だ。男として与えられる快楽も何もかも、エレンがもっと多くの世界に触れる前に、塗り込んでみせる。もっと、もっともっと。



自分が禁断を知ったように、彼女にもまた教える。
いつかどこかで、誰かが食べた赤い実と同じだ。
出て行くならふたりで。逃げていくならふたりで。
知らないなどとは、言わせない。



「俺さー、最初さ。煮た林檎とか絶対ヤダって思ってたんだよ。けどさ、喰ってみたらすげぇうまいし……一度おいしいって分かっちゃったら、もう駄目だよなぁ」

「ああ、そうだな」


 テーブルの脇に置いてあるケーキの箱には、林檎の花言葉が添えられていた。





誘惑


後悔







そして






≪選ばれた恋≫と≪最も美しい女性≫









Atogaki
締め切りぶっちぎってしまってすいませええええええええええええええんん!!!
しかも、まさかの書きなおし!!マジで死にたいです!!!!

このたびは参加させて頂き、光栄ですありがとうごいます。

この小説は2度目の正直で書いておりまして……もう失敗は許されんぞ、とビクビクしながら書いておりましたつか書いております。
 リヴァイとエレンのお互いに向ける愛情の差違を書くのは、凄く楽しいです。
めちゃ楽しい。
でも、エレンはきっと、両親にとりわけお母さんには、泣きじゃくってでも、どうしても、きっと兄貴を……リヴァイを俺は好きなんだ、愛してるんだと言うと思います。

ではでは、また楽しい企画ありましたら、是非参加させてください。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。

 最後になりましたが、翻訳家リヴァイを推奨してくださったGさんありがとうございます。

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