「よーし、全員目を瞑れ。今正直に手を挙げたら怒らないでいてやる」

お昼休みが終わった古典の時間。土方先生がクラスにドスの効いた声でそう脅した。文字通りご立腹です。
事の発端は土方先生が盛大にすっ転んだことにある、俺達のせいで。俺達って言うのは俺と総司。つーか俺はあんまり悪くない!総司がトイレから帰って来るはじめくんを、ちょっと躓かせようって言いだして、曲がり角で箒のトラップをしかけたとこに招かぬ客の土方先生がスタントマンみたいな勢いで転んだ。先生が起き上がる前に俺達は光の速さで逃げたんだけど、放置された箒に俺達のクラスが書いてあって冒頭のようなことになったわけである。
俺はやめようぜって言った、俺は言った!

「いいのか手挙げなくて?今なら雷は落ちねえぞ?あ?」

提案ではない、脅迫だ。ていうかなに、心なしか凄いこっち見てんだけど。ていうか俺に言ってるみたいなんだけど。隣の席の総司は何食わぬ顔で鎮座している。マジかお前。
これはもしかしたら今までにない落雷かもしれない。本当に昼休みにはしゃいでた俺をボコボコにしたい。
貝みたく物静かにしてたら大丈夫だろうか。あああ、でもやめようぜって言ったは言ったけど俺もちょうノリノリだったし、お呼びじゃねえっつったって、あんなバレバレなトラップに引っ掛かるくらい先生疲れてたんだよな。隈出来てるし、青筋も走ってる。転ばせといて謝らずに逃げたのはダメだよなあ、母ちゃん泣くなあ、お呼びじゃなくても。

「……おめーか」

良心の呵責とはこのことだったろう。手汗びっしょりな右手を耳の高さまで挙げたらそう聞かれたので、裏返った声ではいと返事をした。

「平助だけか?」
「……」
「おい」
「…………総司クンデス…」

その瞬間に隣から爆発音みたいな舌打ちがした。マジかお前。

「やっぱりな、こんなくっだらねーことすんのはてめえらしかいねえよな。放課後国研に来い」

……え?
じゃあ昨日の続きからやるぞ、と先生は教科書を開いた。周りも何事もなかったかのように授業に入る。
……え?横で総司の深い溜め息が聞こえた。お前が溜め息するのは意味わからない。

Search for a criminal

「……おい、どこへ行く」
「どうする?とりあえずソッコー謝る?先手必勝作戦」
「てかだいたい君が黙ってれば事なきを終えたのに」
「マジかお前、完全にバレてたんだけど」
「おい!委員会の臨時ではないのか!この先には国研しかないぞ!離せ!!」

20120424

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