担当:デイダラ 「・・・」 「・・・」 「・・・・・」 「・・・・・」 「何やってるんですか、あの二人」 「知るかよ。さっきからずっとあんなだ」 「デイダラちゃんも子供だよなァ。ま、子供は子供同士 「オイラは子供じゃねェ!うん!」」 鋭く睨み合っていたアリスとデイダラ。 メンバー達は呆れたように見守っている。 「おいテメェ、世話になってる身として頭の一つでも下げてみやがれ」 「このわたくしが髷に頭を下げる?・・・ハッ、あり得ないわね」 「ウゼェェェ!!」 「・・・アリス、“髷”なんて言葉どこで覚えたんだろうね」 「あぁ、それ俺だ」 「ちょっとサソリ、何教えてるのよ」 「もういい!テメェなんざ一人で勝手に遊んでろ!うん!」 「言われなくとも貴方の相手などこちらから願い下げよ。その変な物(粘土)でも弄っていたらいいわ」 デイダラが手にしていた起爆粘土を見て言ったアリスの言葉に、彼は頬を引きつらせた。 「ハ、ハハ・・・変な物、変な物、ねぇ・・・。───ぶっ殺す」 己の芸術を貶されたためか、それとも貶した相手が歳の端もいかぬ小娘だったからか。 「喝!!」という声と共に響く爆発音。 咄嗟に距離をとって被害を逃れた(術者を含める)メンバー達は爆発の中心に意識を向けた。 ───爽やかな甘い香りが、強くなる。 煙が晴れたそこには蔦薔薇の要塞が鎮座していた。 「・・・アリス」 イタチが呼びかけると犇(ヒシ)めいていた蔦薔薇が緩まる。 それと同時に咲いていた花が散り、そして枯れゆく姿を恥じらうように空(クウ)へと消えた。 少女には掠り傷一つない。 「ほう・・・やるものだな」 「あららぁ。デイダラさん、こんな小さい子に攻撃防がれちゃって・・・。元気出してください!世の中悪い事ばかりじゃないッスよ!」 「うっせェ!アジトの中だから手加減に手加減を重ねたんだよ!うん!」 「しかしまぁ、あれに反応して防御までしたことは評価してもいいでしょう」 感心したような雰囲気が漂う中、一人むくれていたデイダラにアリスは視線を向ける。 「そこの黄色いの」 「黄色いのじゃねぇ!デイダラだ、うん!」 「今の爆発は何」 「チッ、スルーかよ。テメェにゃ関係ねぇだ 「起爆粘土っつってな。コイツの遊び道具だ」おい旦那!」 「・・・・・」 「あれ、アリス?」 「ドウシタ」 考え込むような素振りの間にチラチラとデイダラを見るアリス。 その様子にトビが思いついたようにポンと手を打った。 「もしかして気になるんじゃないですか?デイダラさんの起爆粘土が」 「ゲハハァ!んなわけ 「・・・」 ・・・え、マジ?」 「・・・見たことないから」 「デイダラ、少し分けてやれ」 ペインの言葉に少し渋るデイダラだったが、それでも子供の拳サイズの粘土をポーチから千切って差し出した。 「・・・ま、あの芸術に目ェ付けたことは褒めてやるよ、うん。コレやるから好きな形造りな」 「貴方に褒められたところで嬉しいことなど何もないけれど頂くわ」 「テメェ余計なこと言うところはトビと似てるな」 「トビと?いやよ、あの歩く騒音と一緒にしないで。あれと似るくらいなら貴方の方が・・・、・・・・・いえ、何でもないわ忘れて。一瞬の気の迷いって恐ろしいわ」 「歪みなく失礼ッスね」 口論しながら手に乗せた粘土をツンツンとつつく。 そしてそのしっとりとした感触に眉を顰めた。 「・・・あまり好かないわ」 「ちぇ、せっかく分けてやったのによぉ。まぁいいや、うん。見てろ」 アリスから返された粘土をポーチにしまい、デイダラは掌を上に向けた。 そこに付いていた口が開いて喰っていた粘土を出すと軽く握って小さい鳥を作り出す。 「鳥?」 「そ。ただの飾りモンじゃねぇよ」 その言葉と同時に手に乗っていた粘土の鳥が翼を広げて羽ばたく。 アリスは自由に飛び回るソレを目で追いかけていた。 「わ・・・。生きてる、わけではないわよね。何か憑かせているの?」 「ちげぇって。チャクラでコントロールしてんだ、うん。んで、最後は──喝!」 二人の頭上辺りで小さく破裂する起爆粘土。 アリスはその光景に目を丸くした。 「この一瞬こそが芸術だ、うん!」 「もったいない・・・」 「なんだよー。綺麗だったろ?規模はちっさかったけど」 「知らない」 「お前な 「けど」うん?」 「いいのではなくって?貴方、楽しそうだったから」 ふっ、と年の割には大人びた表情で息を吐く。 「本当に好きでやっているなら顔つきも目の輝きも違ってくると、お母様が。・・・確かに先程の貴方は今までの単純バカとは思えなかった・・・気がするわ」 「・・・褒めてんだよな、それ」 微妙な言い回しに素直に喜べない。 しかし最初にあったギスギスした雰囲気が無くなっていたのは傍目から見てもわかった。 「食わず嫌いのようなものだったということか」 「デイダラは少し子供っぽいところがあるし、アリスは世界が狭かったものね」 取り敢えずこれ以上アジトが壊れるようなことは起きないことに胸をなでおろす。 「あ、そうだ。デイダラ、少し強めのを2つ頂けない?」 「起爆粘土か?良いけどよォ、お前が使っても爆発しねぇぜ、うん」 「・・・そうなの」 「術者オイラだしな」 「せっかく無礼者と単細胞にお返しできると思ったのに」 「無礼者と単細胞?」 「誰ダ」 ゼツの言葉にアリスはメンバーを振り向く。 視線の先には─── 「「僕ッスか!? / 俺かよ!?」」 「文字の練習の時バカにされたのを根に持ってるんじゃないですか?」 「それならデイダラさんもじゃないですか!」 「自分の術に引っかかる馬鹿はいないでしょう・・・恐らく」 「・・・なんだよその意味ありげな視線。引っかからねぇよ、うん。でもま、トビの野郎吹っ飛ばすなら協力するぜ!」 「えぇ!?デイダラさ 「喝!!」 ぎゃあぁ──!!」 「意外と素早い・・・。デイダラ、喉を狙いなさい喉を。あの耳障りな声を出す声帯を潰して」 「うえぇぇ!?子供の考える事じゃないッスよ!」 「チッ、ちょこまかと・・・おいトビ!止まりやがれ、うん!」 「無理無理無理ッス──!」 「鬼鮫、喉が渇いたわ。お茶を」 「え、あぁ、はい。・・・あの二人どうするんですか?」 「知らない。厭きたわ」 「うわ、子ども特有の残酷さというか・・・」 「厭キタラ捨テル、ダナ」 「別にいいんじゃねェか?あの2人だしよぉ。死んだら死んだだ。煩いのがいなくなって清々する」 「同感だ」 「コイツら素で冷てェよ」 そんなこんなで、今日も平和だ。
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