「禁術やらなんやらを開発しているとは知っていたけれど、こんなものにまで手を出していたとはね・・・」 ゆったりとお茶をしながら、アリスは大蛇丸のアジトから持ち出してきた巻物を読んでいた。 「全く、興味本位なのかそれとも目的があるのか・・・あら?」 続きにザッと目を通したところで気になる単語が目に入り、その項目を最初から読み直す。 そしてそこに書いてある事実に目を見開いた。 「なに、これ・・・。うちは一族についてここまで調べているなんて・・・」 万華鏡 リスク 移植 永遠の── 珍しいくらいに大きな動揺が走る。 何故大蛇丸がうちは一族の重要機密であろうこの情報を。 書いてある事実に思わず表情が歪んだ。 頭を振って深呼吸した後、もう一度文を読み直して思考を巡らす。 「まず大蛇丸が何故この情報を持っていたか。それは恐らく彼がうちは一族を研究していたから。 安易な考えであれど、暁に入ったのもイタチを狙うためでそれが無理だったからサスケに変更した、ということならば彼の並みならぬ執着心からその考えも頷ける。 次に、写輪眼の上位にあたる開眼条件が厳しい万華鏡写輪眼・・・とやらの使用は失明に繋がる、か・・・しかもこれは他者の万華鏡を取り込むことでリスクを受け付けなくなる・・・信じがたいわね 」 もしこれが本当ならば彼(カ)のうちはマダラはどう説明するの。 アカデミーで習ったのは千手一族と対立して初代火影・千手柱間に負けたということ。 戦乱の世の中で、しかも頭領である彼はその万華鏡を所持・酷使していたはずだ。 耐久性がどのくらいなのか知らないが頻繁に使っていたであろう万華鏡は果たして初代との決着までもったのだろうか。 ・・・そういえば。確か彼には弟がいた。 もしその弟から眼を貰っていたとしたら。 「ありえない、ことじゃない・・・」 そう呟いてから口元に手を添えて再び考え込む。 数秒の後、考えが纏まったのか巻物に視線を戻して口角を上げた。 「なるほど、これはいい情報だったわ。やらなくてはならないことが見えてきた。まったく、火影になるなり敵陣に入り込むなり、やってみるものね」 楽しげなアリスだが、ふとある項目に目を滑らせると真面目な顔つきになる。 「これはまた・・・随分と難しいわね。気合い入れていかないと」 これが、大蛇丸のアジトから帰ってきてサスケの謹慎に付き合っていた頃の出来事──
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