君の涙の跡なんて見つけなければ
ミツバさんが死んだ。
出会って日もそう経ってないから、明確なものではないけれど、私は涙を流した。それを見られたくなくて、密かにその場を離れて屋上へ足を運ぶ。ドアを開けた途端、少し冷たい夜風が頬にぶつかった。
そして誰かの泣く声が聞こえた。
思わず声を主を探してしまって、直後に探さなかったら良かったと後悔した
副長だった。
独り、彼女の好物の激辛せんべいを食べて、肩を震わせていた。
ミツバさんは副長の大事な人で
副長はミツバさんの大事な人で
さっと壁の裏にかくれて、副長が出て行ったのを見届けると急に力が抜けてずるずると壁に背中をこすりつけながら座り込んでしまった。涙が溢れる。
星は憎たらしいくらいに、いや、もう憎かった。
それぐらいに綺麗で。
悼む涙からいつの間にかすり替わった悔し涙しか流せない私を嘲笑ってるみたいに。
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