(ごちゃ混ぜ)



「ルーク、遂にロイドっていう男の一人と逃げ出したって」



遊廓の一室である話しに花が咲く。唯一花魁達が集まることができ、休める時間帯。長い1日を、少しの暇だけ忘れられる時間。本名で呼びあっても、着物をはだけさせても、誰が何をいうわけでもない。彼らが本当の意味で身体を休めることができる唯一の時間だった。



「へー……ルークすごいなっ!!」
「そのロイドってやつもよくやるよな……あんな我儘姫を連れて逃げるなんて…」
「……え、でもここからは絶対逃げられないんでしょ?逃げても最後には見つかって二人とも殺されるって……」
「ルカは心配性だなー。要は捕まらなきゃいいんだろー?過去にも逃げれた人かいるって話だし俺も逃げてみよっかなー!」
「やめとけやめとけスタン。そんなのただの噂話だろ?無理だって」
「あれ。リッドは身請け先が決まりそうなんだっけ」
「んー…俺は断ってるんだけどあいつ意外と頑固なんだよな……」
「……え!?なんで断ってるの!!」
「遊廓の人間なんて買い取ったなんて噂流れたらあいつに迷惑だろ。たたでさえ悪いイメージしかないのに……あいつ、今道場を復興するって頑張ってるのに、幼馴染みだからってだけで俺は邪魔したくない。」
「……リッドの気持ちも分かるけど……でも、これが最後のチャンスかもしれないんだぞましてや好きなやつと一緒になれるなんて」
「……セネルにもいるもんね好きな人」
「お、俺は別にあいつのことなんてどうでも……!!」
「おーい、狼狽えているのが余計に怪しいぞー」
「う、うるさいうるさい!!俺のことなんて良いだろどうでも!!アスベルのとこなんて実弟が買う金ができるまで待っててくれって、約束してるって聞いたぞ!だから二人一辺にきた身請け話を断ってるって」
「……は、ちょっ……!!お、俺を巻き込むなぁ!」
「ほう、アスベルはモテモテ、というやつなのだな」
「はは、ここでの一番人気のミラには一番言われたくない言葉だよね……」
「でも、ミラはここの人間に来ている全ての身請け話を断られているのだろう?辛くは、ないのか」
「?皆がどうしてここをいやがるのか私には理解できないぞ?」
「理解って……だって、お前……知らない男に抱かれるなんて屈辱だろ?好きでもない男に」
「……私は長くここにいすぎたのかもしれないな。もうそのような感情も、何も生まれないよ」
「……あ、あの……ミラには……好きな人、いない、の?」
「……んー…そうだな…好きという感情がどのようなものかわからないが…一人だけ他の男とは違う感情を持つやつならいるぞ……私を絶対に抱こうとしない…ふふ、頭が良いのにおかしなやつならな」
「……ミラにとってその人は特別、なんだね」
「よく……わからないがな………」
「いつか分かるときがくるといいな」
「絶対くるよ、ミラなら」
「ふふ……そうだ、な」


「あ、もう時間だな」


憩いの時間が終わりを告げる鐘がなる。彼らは今日も顔も知らない男のために恋人ごっこを演じるのだ。彼らを求めてやってくる男達のために。ミラが身を整えて立ち上がる。先ほどまでの穏やかな表情では決してない。襖を開ける前に家族同然である他の花魁達を振り返り、そして、




「よし……お前たち、行くぞ」





いつか鳥籠の外に連れ出してくれる人を夢見てーーー



吉原ラメント




(吉原、今日も雨)
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