なんかもういろいろ注意







「お前はお前だろ」


ユーリは今日もいつもと同じことを俺に言う。彼の手には俺の(ものだった)腕が1つ。それはすでに少し腐りかけていて。指は中指しかなかった。骨さえむき出しなそれに同情さえしたけれどそれすらもいつものことだった。そして彼の横にはまた腕があった。もう一本。それは真新しいもので、腕から先は元から何もなかったかのように綺麗だった。これから俺の腕は新しくなるのであろう。彼は丁寧に俺の腕を消毒し、針と糸でその肢体を紡ぐ。痛みも何も感じない。彼が口で糸を切り、腕を持ち上げた。何もなかったはずのその腕は俺の一部になり果ててしまった。可哀想に。すぐなくなってしまうのに。彼の継ぎ接ぎ作業はすぐに終わったらしい。彼はその出来栄えを満足そうに笑って、その指に齧り付いた。あ、せっかく付けたのに。俺の予想は当たってしまった。俺の声が発せられる前に、俺の新しい指は彼の胃袋の彼方へと消えた。早くも5本指が4本指になってしまった。0本指になるのも時間の問題だ。前回は、三日だった。




「せっかく付けたのに、もう食べたのか」
「俺が付けたんだから別にいいだろ」
「良くない、可哀想だろ、腕の持ち主が」
「腕の持ち主はお前だろ」



ユーリは当然のように言うけれど、痛みも何も感じない肢体をどうして俺のものだと言えるのか。あまりに不憫だった。腕をもがれた彼等が。脚を盗られた彼等が。身体を奪われた彼等が。そしてまたユーリは同じことを言う。





「お前は、お前だろ」







全てが他人のものなのに?




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