ユーリ+フレン






彼は人形遊びが好きだった。違う。彼は人形を壊すことが好きだった。色々な人形に手をつけては散々に遊び、人形は少しづつその身を汚していく。毎日。毎日その人形は少しづつ朽ちていき、彼の遊び道具として懸命に振舞い続けるのだ。飽きられないように。棄てられないように捨てられないように。そしてその人形がボロボロになるころ、完全に壊れきるころには彼は何事も無かったかのようにその人形の献身を笑うかのようにあっけらかんと捨てるのだ。解放された人形は泣き叫ぶ。喜びなんかではない。彼にもう1度自分と遊んで欲しいと叫ぶのだ。彼は新しいものが好きだった。使い古された人形なんて彼にとってはどうでも良かった。彼は同じ人形で遊ぶことなどしないのだ。




「ユーリ、君はまた」
「飽きた、それまた捨てといて」



僕の説教など聞きたくないとでも言うように彼は自分の傍にいる何かを指さした。それ、とは使い古された人形のこと。人形は彼の部屋でまた泣いていた。
捨てられたくないと泣いているのだ。



「ユーリ、君は、いつまで続けるんだい?」
「いつまで、見ないふりをするんだい?」
「君は、何をしたいんだい?」



ユーリは何も答えずに泣き声だけが聞こえるこの暗い部屋で耳をふさいだ。僕はもう何も言うことはなかった。彼の部屋を出て、僕はただただ彼に同情した。可哀相。可哀相だ。なんて彼は可哀相な人間なのだ。彼はただ、ただ誰かから必要とされてなくてはいられないのだ。だから常に自分を求めてくれる誰かを探してる。本当に捨てられたくないのは君の方なのに。彼は沢山の愛をもらってる筈なのに、それでも満足ができずに次の愛を探すのだ。彼は無償の愛を知らない。誰もが喉から手が出るほど欲しいものを彼は既に持っているというのに!





「……まるで愛に飢えた獣のようだね」





(願わくば彼がいつか愛せる人と巡り会えますように)


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