『恋とか 愛とか』
※第35話前後のピダムとトンマンの話です

風月主比才が無事に終わったのであった。
歓声の中で、ユシンはみんなの心を得た。誰もが納得せざるを得ない結果といえる。
皆が認める実力であり、ミシルが魅力を感じないはずがなかった。

***
「セジュ様の懐に入ります」そうユシンが言った日。ヨンモと結婚をユシンはした。あっけなかった。そんな王女の近くでずっとピダムはそんなトンマンをみつめる。

最初は、興味本位。だったのに。
女王を目指すトンマンと過ごせば何かが変わるかも知れないと思った。野心があって、いつもそれを師匠様に抑圧されていた。師匠様以外に興味や関心もなくて。初めて、自分を認めてほしいと思えたのがトンマンだ。
わたしは知っている。王女様は弱さを隠して、強くたくましい。女性ということを忘れるほどに凛々しいときさえある。そして、信じた人を絶対に裏切ることはなく、たとえどんなことがあっても信じてくれる。そんな王女と一緒にいれば、気づいたら、一生懸命に協力していて、いつの間にか自分も信じてくれているトンマンに好意を寄せるようになった。それに自覚をし始めたのは、ユシンが結婚をすると泣いていたトンマンをみたとき、ただ傍にいるしかできなかったこと。ずきずきと痛む胸。どうしてだろう。比才後のユシンを介抱するトンマンをみたときにも同じように感じたこの痛み。

どうしてこんなに心が痛いのだろう。皆がユシンを認める。大好きな師匠様さえ、ずっと時を過ごしたわたしではなく、ユシンに心を入れ込んでいる。
だから、悔しいとか羨ましいとか、自分がどんなに努力をしようと得られない沢山のものを持つユシンに妬みにも近い感情が湧く。だからこそ増幅してしまうんだ。
トンマンだけは自分のものにしたい。トンマン王女にだけに認められればそれでいいと。

自覚した時にはこっそりと彼女を見つめていたのに。

ユシンを想って泣く彼女の肩に手を置くしか、傍にいるしかできないもどかしさ。
これは、愛とか恋とか知らないころの話。

END
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