何かが変わり始めた
「只今帰りましたー」
ガチャリとドアを開け、カエルが言った。
すると奥の方からルッスーリアが出てきて、「お帰りなさい」と言った。
「早かったわねー」
「はいー。全然楽勝でしたー」
「倒したの俺だっての!」
「ゲロっ…でもミーはベルセンパイを庇ってあげたじゃないですかー」
「なっ!?あれはお前が勝手にっ…」
と言った時、ふふふ、と笑っているルッスーリアが見えて、言葉を止める。
「何だよルッスーリア」
「いーえ?随分仲良くなったなぁと思って♪」
「はぁ!?こんなカエルと仲良くなんてないし!」
「ミーはカエルじゃありませーん」
「ふふふ♪」
俺は否定したのに、ルッスーリアの笑顔は変わらない。
それがなんだかイラついて、俺は「部屋に戻る」と言い残してその場を立ち去った。
…コンコン
部屋に戻って暫くすると、部屋のドアがノックされた。
「……誰?」
「ミーですー。ベルセンパイ」
は?カエルが一体何の用だよ。
「何だよ?」
俺はガチャリとドアを開けて問いかける。
「あのー、これ隊長からのお土産ですー。ベルセンパイ、これ好きなんですってねー」
「土産?」
確か、スクアーロは日本に行ってたんだっけ?
俺はカエルの手から紙袋を受け取り、ガサガサと開けて中のものを見た。
「おっ、スシじゃーん♪」
「スシ、ですかー?」
「お前知らねーの?」
「馬鹿にしないで下さーい。お寿司くらい知ってますよー。師匠が日本大好きですからー」
師匠?コイツ師匠がいんのか。
「ふーん…まぁいいや。一応サンキューな」
「一応って何ですか一応ってー」
そう言って頬をぷーっと膨らますカエル。
……ドキン
(……は?何…今、胸が…)
マーモンの時とはまた違った胸の高鳴りを感じた。
何…コレ?
「?ベルセンパーイ?」
「っ…何でもねーよ!用が済んだならさっさと帰れ!」
「はーい」
カエルは素直に返事をすると、その場を立ち去った。
カエルがいなくなったのを確認すると、俺はドアを閉めてベッドに潜り込む。
(何だよ…この気持ち…)
俺はまだ気付いていなかった。
俺の中で何かが変わり始めていたことを。
いや、認めたくなかっただけかもしれない。
俺はマーモンが好きなはずだから。