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その笑顔にやられてしまう





空は快晴、風は心地よく吹いていてクルー達の音楽を遠くへ運んでいく。





今日もまたルンバー海賊団は平和で、誰かがソロで楽器を奏でればデュエット、トリオ、カルテットと広がっていく。そして最終的にはそこにサウンドスケープが生まれた。

音符ひとつひとつに想いを込めて奏でる私達のモットーは【泣く子も笑うルンバー海賊団!】

みんながみんな音楽が大好きな海賊だ。船長もまた然り。
なんたってこの船には音楽が好きな人でなければ乗れないのだから。






『ヨーキ船長が呼んでたよ?』と聞いて甲板に来てみたものの…その船長の姿が見当たらない。
白い帽子も緑のコートもここにはいなかった。
そこに居たクルーに聞けば私を探しに行ってしまったらしい。


…まったく、どこ行っちゃったの?


このただっ広い船内を探すのは容易ではない。
ひとつひとつ回っていたら日が暮れてしまうだろう。
通りかかったミズータ兄弟に聞いても「「知らねェ」」とハモられてしまった。




「おや?どうしたんです?船長が探してましたよ?」




どうしようか考えていると後ろから聞きなれた声。
振り向けばそこには長身アフロ。
廊下の天井が高いのは彼使用なのかもしれない。




「その本人がどこにいるか分からないんだけど」

「ヨホホホ!おやおや!」

「もう!笑ってないで教えてよッ」




知ってるんでしょ?と続ければ「怖い怖いッ!」と肩を竦めた。
そしてサングラスを直しながらまたヨホホと笑う。




「船長の事ですから探し疲れて、船尾で寝ちゃってるんじゃないですか?」

「──ありうる」




ありがと!とお礼を言って走りだすと「頑張ってくださいねー!ヨホホ!」と声がした。



ブルックさんと別れて、船尾へと向かう。
甲板に出ると太陽の光が柔らかく照らしていた。


…確かにこれならきっとヨーキがお昼寝していてもおかしくはない。

空の高い所でカモメが鳴いていて、船を抜ける風も暖かい。


船尾に着いてヨーキを探すと、案の定壁に寄りかかっている彼を見つけた。
頭の後ろで手を組んで、帽子を深くかぶっている。


……まったく、人の努力も知らないで!仕事しろよ船長!


近くに寄れば規則正しい寝息が聞こえてきて、こっちにまで睡魔がやってくるじゃないか。

深くかぶっている帽子を取って自分の頭に乗せれば、そこには気持ち良さそうに眠る恋人の姿。
その顔に呆れながら隣に座ると甲板からいつものあの唄が聞こえてきた。




「…まったく…しあわせな船長なんだから」




大好きな音楽を、大切な仲間達が奏でてくれて、それを聞きながら眠れるなんて。
―――その隣に居られる自分も十分にしあわせなのだけど。

その唄に合わせるようにヨーキの頭を撫でれば「んー…」という声と共に私の膝へと体を倒した。

膝枕というバカップルなら当然な体制に免疫なんてあるわけなくて自然と顔が熱くなっていく。


う、わ…ッひひ、膝枕って…ッ!恥ずかしい!


そんな私の気持ちも知らぬまま、ヨーキは体をごろんと仰向けにして目を開いた。
薄い茶色の瞳が自分を見つめるのが分かる。
それにまた胸がキュンと高鳴って、体が熱くなっていく。

何も言えないでいる私を見てヨーキはまだ眠そうな、それでいて嬉しそうな顔で微笑んだ。




「ああ、おれは…しあわせだな」




そう言って大きな手が私の頬を優しく撫でるから。大切にされてるんだなぁ、なんて。

起きたら文句のひとつでも言ってやろうと思っていたのに。
こんな笑顔見せられたら言えるわけ無いじゃないか。



ああ、ほらまた―――。











その笑顔にやられてしまう

(ヨーキ…ッい、いつから起きてたの?)
(お前が来てから)
(〜〜ずるい…ッ)
(ぬははッ顔赤いぜ?)
(ううう、うるさい!)



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素敵な企画ありがとうございました!








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