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#02



藤岡から最初のメールがきてからというもの、毎日の様にメールが送られてきた。おはようメールからおやすみメールまで様々だ。しかしこれと言って悪質な内容ではないので名前は無下に出来ずにいた。

「…これがそのメールの一部」
「どれどれ…えーっと」

携帯の画面を覗き込んで、阿部が代表で読み上げる。

『おはよう、寒くなってきたね』
『今昼ご飯中。名前ちゃん何食べてるの?』
『今何してるー?』
『名前ちゃんって大学どこ行くか決めてるの?俺まだだから一緒の所行きたいなぁ』
『今週の土曜日の夜、空いてる?イルミネーション見に行こうよ』
『寝不足は美容の大敵だからね、俺はもう寝るよ。おやすみ』

「……」
「待って、皆黙らないで、一番の被害者私だから」
「つってもお前これ…こいつ…やっぱりバカか?」
「しかもかなりウザいねぇ」
「こんな奴うちの学校にいたんだな…」

男子三人からの総攻撃。名前は苦笑するしかない。何かいい解決方法は無いかと、名前は三人に助けを求めた。

「解決方法つってもなー…相手先輩だし、問題になる程悪質な事してるわけじゃないし、そう簡単にはいかねーんじゃねぇか?…なぁ?阿部」
「ああ。相手に全く悪意が無いってのがまた面倒だな」
「あ、そうだ名字。来たメールには返信してんの?」

水谷が先程の携帯を指差しながら尋ねた。それに名前は頭を少し傾けて、微妙な表情を返す。

「…殆ど返してないよ。今まででまだ、二、三通しか返してない」
「それでもめげねぇのか…」
「はは…うん」

よくわからないが、藤岡の頭は随分おめでたく出来ているらしい。疑問符が付けられたメールに対して名前が返信しなくても、藤岡は次の日同じ内容を直接聞きにくる。ならば初めからそうすればいいものを、藤岡はどちらとも(メールも会いに来るのも)継続させていた。

「…お、噂をすればってやつだ」
「何?」
「藤岡って奴からメール」
「…どんな内容…?」
「メール開けていいのか」
「うん、是非」

タイミングがいいのか悪いのか、携帯が急に震えた。阿部の手の中に名前の携帯があった為、そのまま阿部がメールを開く。

「…今日、一緒に帰ろうだってよ」
「えっ今日?」
「ああ、待ってるからって」
「でも部活あるし…ミーティングだけだけど…」
「ミーティングって事は教えてやるギリはねぇ。部活で遅くなるっつって断りゃいいんだ」

そう言うと、阿部は簡単に文字を打ち込んで、藤岡に返信した。すると数分後にまたもやメール。『終わるまで待ってるよ!』

「……はは、懲りないねぇ」
「笑い事じゃねーぞ水谷。どーすんの、阿部」
「どーするってもなァ…わかんねー」
「諦めないでよ隆也!Never give up!」
「なんか無駄に発音いいな…じゃなくて。とりあえずもう一回断っておこう。その後はもう知らねぇ。捕まる前に帰るだけだ」
「そうだね…」

諦めの悪い藤岡になす術なし。結局昼休みも終わってしまい、後は放課後を待つだけとなってしまった。





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