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 再び喧騒を取り戻した大通りの中でもよく目立つ、淡い桜色。慌しく上下左右に揺れ、走りながら想い人を探す。
 サクラの反対側から、黒い髪をした少年が、整った容姿に疲れの色を滲ませながら、何かを必死で探している。

 二つの影が交差し、立ち止まる。

 サクラの耳から周りの雑踏が消え、自分の鼓動だけが聞こえる。彼の家に向かう途中で、当人に出会ってしまった。しかも、お互いに立ち止まっている。
 振り返ってもいいのだろうか? サクラは悩む。

 二人が同時に、180度振り返る。視線が絡み、体温が上昇するのが手に取るようにわかる。
 言葉が出ず、サクラは胸元の紙袋をギュッと握る。
「……サクラ」
 めずらしく、彼のほうから話しかけてきた。サクラは、ぎくしゃくしながら「なあに?」と答える。
「その……格好悪い俺でも――好きで、いてくれるか?」
 それは告白と呼べるような言葉でもなく、かといってサクラを拒絶するような言葉でもない。じわりじわりと、サクラの心に染み込んだ。

 サクラは周りの目など気にせず、サスケの胸に飛び込んだ。
「うん!」
 サスケは突き放そうかと考え、思考をやめる。「今日だけだからな」と無愛想に呟く。
 
 180度回ったら、いつもと違う君が見えた気がした。














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