今日はバレンタインデー。
恋する女の子達が、好きな人にチョコと共に自分の想いを伝える日。
…一応、私もカイルくんに作って来たんだけど。
「(なんだか、なあ…。)」
カイルくんは料理が上手い。料理に関わらず、お菓子を作るのも上手い。その辺の飲食店よりも普通に美味しい。
一応、自分なりに頑張ってガトーショコラを焼いて来たんだけど…。
普通に考えて、私が作ったやつはカイルくんの作るお菓子より劣っている。そもそも、受け取ってくれるのだろうか。
いっそ、渡すのを止めてしまおうかなんて考えてみたけれど、それはそれで嫌だ。
よし、ここは覚悟を決めて渡そう。
「あ、あの。」
「? 何でしょうか。」
いつもの笑顔を浮かべて、カイルくんは振り向いた。勢いで話しかけてしまったけれど、やっぱりちょっと恥ずかしい。
…ええいもうどうにでもなれ!
「これ、チョコレート。カ、カイルくんに。」
「僕にですか?」
チョコを差し出すと、カイルくんはそれを笑顔で受け取った。「いいんですか?」と尋ねるカイルくんに私は首を縦に振ることしか出来なかった。
「本当ですか、嬉しいです!」
「!」
パアァア、と周りに花が咲き乱れるくらいの眩しい笑顔に、思わず頬が赤く染まる。こんなに、嬉しそうに受け取ってくれるとは思ってなくて。
「ありがとうございます。 ホワイトデー、期待してて下さいね!」
「う、うん。」
そう言ってカイルくんは自分の席に戻っていった。私の上げたチョコを、尚も嬉しそうに鞄の中へと入れている。
も、もしかして…上手くいったのかな、なんて。
Happy Barentain!!
(まさか、一番欲しかった人から貰えるだなんて。)
(お返しは、何がいいでしょうか。)
2011.02.14