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「新年まであと10分だって、スペクター。」
「ああ、そうだな。」

名前と一緒に炬燵に入りだるそうにテレビを見ていたスペクターが頷く。「ふわーっ」と大きな欠伸をして名前は横になった。もぞもぞと肩まで炬燵の中に入りこむ。

「…いいのか?」
「何がー?」
「カケルやナツミ達に初詣誘われたんだろ?」
「あー、うん、別に。断ったしね。」
「…どうして。」

ごろごろとまるで猫のように丸くなる名前。猫は炬燵で丸くなるとかなんとかいう日本の童謡がふとスペクターの頭を過ぎった。

「どうして、ってそりゃ…。」
「?」
「年が変わる瞬間は、やっぱスペクターと過ごしたいなーって。」

そう言ってにへーっと笑う名前にスペクターは思わず笑みを零す。ごそごそと自分も横になって炬燵に入りこむと、膝をついて名前の頭を抱え込み腕枕のような体制を取る。

「可愛いことを言うじゃないか。」
「いやいや本当のことだし。」
「そうか。」

さらさらと名前の髪のをときながらスペクターは目を細めて、「俺は…。」と口を開いた。

「お前と過ごせて幸せだぞ。」

そう言ってスペクターはちゅ、と名前の額にキスを落として柔らかく微笑んだ。そんなスペクターに名前はかああと頬を染める。

「ブルー並にキザね…。」
「なんとでも言え。」

そんな中つけっぱなしのテレビから新年を告げる声が聞こえた。「おめでとう。」とお互いにふ、と笑いあった。

「今年もよろしくな。」
「…こちらこそ、よろしく。」



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