a swift reaction(1/5)


「明日叶ちんー!これ、何だと思う?」


ヒロが満面の笑みで俺に見せてきたもの。

それは、フリフリの可愛らしいメイド服だった。


「メイド服か?」

「うん、正解!ってことで明日叶ちん、着ようか?」

「えっ!?何言ってるんだよ!?」


どこからどう見てもそのメイド服は女性用。

男の俺が着るようなものではない。


「あっ、そっかー。明日叶ちんってば帰国子女だから知らないんだー!」

「……?」

「日本ってハロウィンの日に、身長170cm以下の男はメイドコスプレしないといけないんだよ?」

「そっ…そうなのか?」

「うんうん。」


ヒロは真剣な顔で頷く。

正直な話、そんな風習聞いたことがないが、俺が知らないだけかもしれない。

でも――…。


「身長170cm以下だったら、ヒロも着なきゃいけないんじゃないか?」

「ボクはいいのー。これはね、2学年男子に適用されるの。だから、明日叶ちんは着ないとなんだよ!」

「そう…なのか……。」


知らなかった。

今の日本は、ハロウィンにそんなことをしなければならないのか……。


「ねっ。着替えて、あとで皆に見せよう?一生に一度の明日叶ちんの晴れ姿!」

「晴れ姿って……」

「いいから、いいから!さぁ行こうー!」


そう言って、ヒロは半ば強引に俺を更衣室へと連れていった。




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