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あなたを愛してみたかった



※真斗→主人公→←音也
聖川さんが報われない小説につき注意



好きだと思ったのはいつからだろうか?
一緒にいたいと思ったのはいつからだろうか?
いつから、こんな気持ちになったのだろうか?



――放課後。
授業が終わり、玄関は生徒でごった返している。
そんな中から、ふと存在に気づく。誰よりも輝いている、彼女に。
一十木を待っているのだろうか。アイツは月宮先生に呼ばれていたようだから。

しばらくすると遠くから走ってくる一十木。
そしてアイツを見つけた瞬間に表情が一気に明るくなる彼女。

「音也くん!」
「春歌、ゴメン待たせて……」
「いいえ!全然待ってません!」

彼女は一十木のパートナー。そんなことは解っている。頭では解っているのに。
何故だろう。ひどく羨ましい。

「…あっ、聖川様!」

気づいた彼女が笑顔で俺を見る。
俺も反射的に急いで笑顔を作ったが、その笑顔が自然だったかぎこちなかったかは自分では判らない。

「マサも今帰り?」
「あっ、ああ……」

期待する言葉。
――"寮まで一緒に帰ろう。"
そうすれば少しでも長く彼女といられる。少しでも、長く。
だけど、返された言葉は、

「じゃあな、マサ!」
「聖川様、さようなら!」

――解っていた。
一十木と彼女が互いのことを想っていることくらい。
ただ見たくなかった。現実を。

だって俺は一十木より、絶対長く彼女のことを想い続けているから。


あなたを愛してみたかった
(きっとこれは報われない、恋)

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