※真斗→主人公→←音也
聖川さんが報われない小説につき注意
*
好きだと思ったのはいつからだろうか?
一緒にいたいと思ったのはいつからだろうか?
いつから、こんな気持ちになったのだろうか?
*
――放課後。
授業が終わり、玄関は生徒でごった返している。
そんな中から、ふと存在に気づく。誰よりも輝いている、彼女に。
一十木を待っているのだろうか。アイツは月宮先生に呼ばれていたようだから。
しばらくすると遠くから走ってくる一十木。
そしてアイツを見つけた瞬間に表情が一気に明るくなる彼女。
「音也くん!」
「春歌、ゴメン待たせて……」
「いいえ!全然待ってません!」
彼女は一十木のパートナー。そんなことは解っている。頭では解っているのに。
何故だろう。ひどく羨ましい。
「…あっ、聖川様!」
気づいた彼女が笑顔で俺を見る。
俺も反射的に急いで笑顔を作ったが、その笑顔が自然だったかぎこちなかったかは自分では判らない。
「マサも今帰り?」
「あっ、ああ……」
期待する言葉。
――"寮まで一緒に帰ろう。"
そうすれば少しでも長く彼女といられる。少しでも、長く。
だけど、返された言葉は、
「じゃあな、マサ!」
「聖川様、さようなら!」
――解っていた。
一十木と彼女が互いのことを想っていることくらい。
ただ見たくなかった。現実を。
だって俺は一十木より、絶対長く彼女のことを想い続けているから。
あなたを愛してみたかった
(きっとこれは報われない、恋)
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