※藍ちゃんのネタバレ注意
じっと美風先輩に見つめられる。言葉を発することなく、ただ、見つめるだけ。
「美風先輩?」
「本当に、人間ってモノは分からないよ」
「えっ?」
わたしにとっては、先輩の言葉の意味が分からずに首を傾げてしまう。
確かに先輩はアンドロイドだけど、「人間」ってものについてはプログラムされていたはずだから。
「…あのさぁ」
「はいっ!何ですか?美風先輩」
「…それ」
そう言って、先輩はわたし自身を指差す。
何もした覚えがなくて、どうしていいか判らない。
「あのっ…わたし何かしましたか?」
「うん」
「何でしょうか…?」
先輩は「はぁ…」と小さく溜め息をついてから、再び口を開く。
「これが『嫉妬』っていうものなのかな」
「……?」
「どうして、ナツキやショウは名前で呼ぶのに、ボクは苗字で呼ぶの…?」
「えっ…」
「ごめん、忘れて」
そう言って俯く先輩の顔は真っ赤で。思わず「冷却シートいりますか」なんて訊いてしまいそうになるくらいに。
「呼んでもいいんですか?名前で」
「別に…。呼べばいいんじゃないの」
「…
あい…先輩」
「…『先輩』いらない」
「はい…。藍…くん」
――那月くんや翔くんは自然に呼べるのに、どうして先輩だとこんなに恥ずかしいんだろう
「ねぇ…顔真っ赤だよ」
先輩もですよ、って茶化そうとする前に、ぎゅっと先輩から抱きしめられる。
「もう1回、呼んで」なんて甘えた口調で囁かれながら。
こんな想いは初めてで------------
わたしはトコトン呼び名変更イベントが好きだなぁ…
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