uta | ナノ

大人になってしまう前に



※微裏とも呼べない微エロ



「っ…ん、…くすぐったいです、一ノ瀬さん」
「…くすぐったいだけですか?」

そっとわたしの首筋に顔をうずめる一ノ瀬さん。
本当は、くすぐったいだけじゃない。
一ノ瀬さんが何かをするたびに、自分の身体に電流のようなものが走っていくのが判る。

「あ…一ノ瀬、さんっ…」

一ノ瀬さんに服のブラウスのボタンを外される。
その綺麗な指を見てると、何かいけないことを想像してしまうから、固く目を閉じた。

「んぅ…あっ……」

ブラウスを脱がされ、むきだしになるわたしの肌。ひんやりとした外気に触れて、軽く鳥肌が立つ。

下着の上からそっと上半身に触れてくる一ノ瀬さん。
一ノ瀬さんの手も冷たくて、余計に鳥肌が立った。

「はぁ…一ノ瀬、さん…いやっ……」
「嫌、ですか?」

本当に嫌なわけじゃない。嫌じゃなかったら触らせない。
だけど――…。

「春歌。怖い、ですか?」

ずばりそのものを言い当てられて、小さく頷くしかなかった。
――嫌じゃない。だけど初めてだから、どうしても恐怖心が拭えない。

「…わかりました」

観念したような、凄く優しい声がする。
一ノ瀬さんの方を見ると優しく微笑んで、ブラウスをわたしの肩にかけてくれた。

「あっ…あの…一ノ瀬さん……」

一ノ瀬さんの方を見るも、何だか申し訳なくなって、すぐに視線をそらしてしまった。

「大丈夫ですよ。待ちますから」

そう言って、そっと抱きしめられる。
その一ノ瀬さんの体温が心地よくて、わたしはそっと目を閉じた。
いつか来るその日を覚悟しながら。

大人になってしまう前に
(まだもう少し、このままでいたい)

---------------
トキヤはきっとこんな紳士じゃない(笑)

戻る

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -