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この想いを封印する



※友千香←音也←主人公
音也×友千香が苦手な方、切ないのが苦手な方は回避推奨






――気がつくと、彼を目で追ってた。

今までまともに「友達」なんて出来なかったわたし。
だけどトモちゃんのおかげで、学園に入ってから、たくさんお友だちが出来た。


「七海、ここなんだけどさー…」

わたしのパートナーの一十木くん。
今日は定期試験に向けて、わたしと一十木くん、それとトモちゃんで勉強会。

「何でこの式がこうなるのかが全然わかんないや…」

こうやって誰かに頼ってもらえると嬉しい。
今まで友達なんて出来ずに、ずっと1人で勉強していたから。こうやってみんなで勉強会をするのなんて初めてで――…。

「あっ、この式は、ここから移項して……」
「えっ?どこどこ?」

自然と一十木くんとの距離も近くなって――…。
それと比例するかのように、速くなるわたしの心臓の鼓動。

――あっ、一十木くんって案外睫毛長い。

どうしよう。
なんかすごく、ドキドキする。

「ちょっと、音也ー!なに真面目モードに入ってるのよ!」

そんな私たちの空気を遮るかのように、机に突っ伏すトモちゃん。
横目でちらりと私たちを見る。

「だってしょうがないじゃん!オレが悪い点とると、パートナーの七海にも迷惑かかるしさ!」
「あーハイハイ。春歌春歌って、そんなに春歌が好きですかー」

そんな軽い冗談の冷やかしでさえ、慣れてないから思わず赤面してしまう。
こういうのは笑って流せばいいって解ってるのに、どうしても、まだそれができない。

「あの…トモちゃん…、わたしと一十木くんはそんなんじゃ…」
「違うよ!!」

わたしの小さな声を打ち消すかのように、突然大きな声を出す一十木くん。
驚いて、思わず目を見開いてしまう。

「俺が…、俺が…、好きなのは……」

そう言って、ちらりとトモちゃんを見る一十木くん。
でも、すぐに視線を反らす。

――ああ、そっか。
一十木くんはトモちゃんが好きなんだ。

本当は気づいてた。一十木くんがトモちゃんを好きなことくらい。
だってわたしはずっと一十木くんを見てたから。

――気づかないわけ、なかった。

だけど、気づかない振りをしてた。
認めたら、この密かな恋は終わってしまうって思ってたから。

だけど、もう終わり。
今、この瞬間、わたしはそれを認めてしまったから。

わたしの視線の先には一十木くん。一十木くんの視線の先には、常にトモちゃんがいる――…。

そんな2人を見れなくて、目の前の教科書に視線をずらす。
目尻に溜まった涙を、誰にも見られないようにしながら。


この想いを封印する
(勇気があれば、この想いを伝えられたのに)

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久々に文かいた
相変わらず暗いな(笑)

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