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恋ではなく、眩暈



アイドルとして売れれば売れるほどなくなっていくのは、彼女と一緒にいる時間。
番組の収録が終わるのが朝方になるなんてこともザラにある。

オレのわがままで、無理やり彼女に時間を作らせるなんてことはしたくない。
彼女にだって生活のペースというものがあるのだから。
ここまで他人に気を遣うなんて、自分でも少し笑えてくる。

――それほど本気ってことか…。

収録終わりの車の中でそんなことを考える。

彼女に会いたくて。
でも、そう言い出せなくて。
――それが、ただただもどかしい。



――深夜。
スタジオから事務所の寮まで送ってくれたジョージに軽く手をあげて、車から降りる。
寮の彼女の部屋を外から眺めると、確かに灯りが点いていた。

もしかしたらまだ起きているのかもしれない。
期待半分に、彼女の部屋の前へ行き、そっと呼び鈴を鳴らす。

「……はい」

小さい返事と共に、ゆっくりと部屋のドアが開く。
そこにいたのは、久々に見る彼女。

「久しぶりだね、ハニー」
「…えっ?じ、神宮寺さん…!?」

大きく目を見開いてオレを見る春歌。
どうやらドアを開けてオレがいたことに、相当驚いたらしい。

「あっ…わたしパジャマ…!きっ着替えてきます…!!」

そう言ってオレに背を向けて歩き出そうとする彼女を、後ろからそっと抱きしめる。
久々に会えたのに、離れるなんてしたくなくて。

「…パジャマ姿のハニーも可愛いよ」
「あのっ…でもっ……」
「ごめん。久々に会えたんだ。顔が見たい…」

そう言うと、上目遣いがちにオレを見る春歌。
抑えるなんて出来なくて、そっとその唇を奪う。

触れるだけのキスだけじゃ物足りなくて。固く閉じた彼女の唇にそっと舌でノックする。
すると軽く開く彼女の唇。そこにゆっくり舌を滑り込ませる。
遠慮がちに絡ませてくる舌。擦れたときのざらりとした感覚。それが何とも癖になる。

「っ…んんっ…っ……」

小さく喘ぐ彼女の服を少しずつ脱がしていき、肌に触れていく。
ささやかな抵抗をされるが、そんなことでさえ愛おしく感じて、理性なんてものは意味をなくしていった。



「ハニー…」
「っ、あっ…神宮寺、さん……」

手についた彼女の大量の愛液を、舌を見せ付けるように舐めとる。
羞恥で更に赤く染まる彼女の顔は、見ているだけで愛らしい。

「おいで、春歌…」

ゆっくりと近づいてきた彼女をそっと抱きしめる。

「今日はキミが動いてくれない…?」
「えっ…?」
「大丈夫だから…、ね…?」

うつむいて、小さく頷く彼女。
避妊具のついたそれに、そっと入口を宛がう。

「大丈夫。…ゆっくりでいいから入れてごらん…?」
「…あっ…っ…!」

先端だけ入れた瞬間、今まで以上に涙目になる彼女。
小さく震えながら口を開く。

「神宮寺さ、んっ…違…何か…変、ですっ……」
「大丈夫…。当たってるところがいつもと違うだけだから…。そう…そのまま腰を下ろして…」

そう優しく耳元で囁くと、彼女は言ったとおりにゆっくりと腰を下ろしていく。

「っあ…深…っ……」
「…春歌。…ゆっくりでいいから、自分がいいように動いてごらん……」

そう言うと、控えめに動き出す身体。結合部から小さく立つ粘着音。
動く彼女の腰にそっと手を添えた。

「っ、はぁ…神宮寺さんっ…あっ、…んぁ」
「さっきからそこばっかだね…。…っ…そこが気持ちいい…?」
「…んっ、…はぁ…いい…です…っ、あっ……」

目尻に溜まった彼女の涙が、そっと落ちた。
ただ彼女の動きに従ってるだけなんてもう耐えられなくて、上からゆっくり突き上げていく。

「っ…はぁっ、神宮寺さんっ…あっダメっ…!激しっ……」
「ごめんね、ハニー…。…っ…もう止められそうにないよ」

そう言って体位を変え、彼女を組み敷く。

――ずっと会いたくて。やっと、今会えて。
彼女が目の前にいて、そして触れ合えるこの快感に眩暈がおきる。

――ずっとこのまま一緒にいられればいいのに。
そんな子供じみた叶わない願いを胸に抱いて、彼女と触れ合う。
馬鹿みたいに彼女の顔にキスの雨を降らし、愛の言葉を囁いては。

恋ではなく、眩暈
(もうキミだけしか見えない)

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