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触れなくちゃ伝わらないこと



※10万フリリク企画



「んっ、はぁ……真斗く……」
「ハル…大丈夫だ。力を抜いて、全てを俺に預けろ……」
「っあ、…真斗くんっ…真斗くん……」

真斗くんの部屋に行って、いつかはそういうことになるって覚悟してた。
だけど、いざそうなると案外恥ずかしいもので――…。

「恐いですっ、ぁ…真斗くんっ……」
「大丈夫だ、ハル……」

恐くて、呪文のように彼の名前を呼ぶ。だってそうすれば少しだけ、不安がやわらぐから。
彼の指が、わたしに触れる。まるで何かを、確かめるように。

「っひゃ…、っ……」
「まだ触れただけだ。感じやすいんだな、お前は…。」
「…感じやすい…?、っ……」

わたしは真斗くんが初めてだから「感じやすい」というのがよく判らない。
何で、真斗くんは――…。

そんな思いも束の間、服を1枚1枚丁寧に脱がせて、改めて指がわたしの足の間に触れる。
どうしようもなく恥ずかしくて、真斗くんの手に自分の手を重ねた。

「ハル……?」
「あっ、あの……」
「大丈夫だ」
「でも…あっ、あの……」
「どうしたんだ、ハル……」

小さく息を飲む。
訊いてはいけない。そう私の中で警鐘が鳴る。
だけど聞かずにはいられない。たとえ傷つくことになっても。

「どうして…こんなに慣れてるんですか……?」

言葉の端が上手く出てこなかった。怖かったから。
私と真斗くんがちゃんと出会ったのは早乙女学園。
それ以前の真斗くんを、私は知らない――…。

もしかしたら誰か私の知らない人と付き合って、そういうことをしたかもしれない。
それは、もうどうしようもないって解ってるけど…何でだろう?嫌で嫌で仕方がない。

「ハル……」
「あっ…ごめんなさ…こんな、詮索するような真似……」

――どうしよう。泣きそうです……。

「すまない…」
「えっ……?」
「その…決して"慣れている"というわけではない」
「………?」
「……もし上手くできなかったら恥ずかしいだろう?」

――恥ずかしい?
真斗くんの言っている意味がよく解らなくて、黙ってうつ向いていると、真斗くんがまた口を開く。

「恥ずかしながら、お前とこういうことをするのを想像して、どうすれば良いのかいつも考えていた」
「それって……」
「ああ。もちろん俺はお前が初めてだ。だから、格好を付けたくてだな……」

少し、はにかみながらわたしを見る真斗くん。
嬉しくて、わたしも微笑み返した。

「真斗くん…ごめんなさい……。」
「どうした?」
「あのっ、あまりに真斗くんが慣れているので…そのっ…もしかしたら以前お付き合いしていた女性がいて、その人と…とか考えてしまって……」
「それは妬いてくれた、ということか……?」

――妬いた?
確かにすごく嫌だった。真斗くんが、わたし以外の人とこういうことをしていたかもって考えたら、どうしようもなく悲しくなってきて。
わたし、妬いてたんだ……。

口にするのが恥ずかしくて、ただ黙って頷いた。
すると真斗くんはギュッと痛いくらい抱きしめてくれて。
服を着てないために、いつもよりダイレクトに伝わる温もり。それが恥ずかしくて、でも嬉しくて、口元が緩んだ。

どちらからともなく身体を離したら、そっと再びベッドに優しく寝かされる。
すると伸びてくる真斗くんの、手。

「っ、はぁ……」
「すまない、ハル…。抑えられそうにないのだが……」
「真斗くんとなら…したい、です……」
「ハル……」

胸の突起に吸い付きながら、優しく足の間で指の出し入れをされる。
最初は痛みを伴ったけど、身体の奥が熱くなる度、痛みが和らいでいく。
だけど、和らいでいくのに比例して激しくなる水音。思わず、羞恥に目を瞑る。

「なぁ、ハル…。俺はもっとお前のことを知りたい……」
「わたしも…っ、真斗くんのこと、もっと…もっと知りたいです……」

そしてどちらからともなく口づけを交わす。
それが嬉しくて、言葉にしないと伝わらないことは沢山あると痛感させられた。

――恋がわたしをどうしようもなく貪欲にしていく。

真斗くんのことを全て知りたい。
過去も、そしてこれからも――…。

そんなことを思いながら、そっと真斗くんの背中に手を回した。
だってこんなにも、大好きなのだから。


触れなくちゃ伝わらないこと

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*あとがき*
10万ヒット企画第三弾!
遅くなって本当にすみません…!
嫉妬ネタだいすきなので非常に楽しく書かせていただきました(^o^)!!

リクエストありがとうございました!!
これからもよろしくお願いします^^*

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