チョコのように甘く 「ねぇ、真奈美せんせい。今日何の日か分かる〜？」 誰もいない廊下で真奈美せんせいを発見。 思わず声をかけてしまう。 だって今日は――… 「あっ、那智君！はい、これ！」 そう言うと、真奈美せんせいは大きめの袋の中から箱を1つ取り出す。 「那智君のだけ特別なんだよ？皆には内緒ね！」 "特別"。 何ていうか…… 人間ってそういう言葉に弱い生き物だと思う。 思わず緩んだ口元をストールで隠す。 「那智君、どうかした？」 「いや、何でも〜？」 「………？変な那智君……。」 「……開けてもいい？」 「どうぞ！」 箱を開けると広がってくるのは…… 甘い、甘いチョコの匂い。 だって、今日は バレンタインデー――…。 「ねぇ、真奈美せんせい。食べてもいい〜？」 「うん、いいよ！」 「……じゃあ、ハイ。」 そう言って、貰ったチョコの箱を真奈美せんせいに渡す。 「那智君……？」 「せんせい、食べさせて？」 「えっ……！？」 「ほら、ほら〜！」 口を開けて、真奈美せんせいがおれの口にチョコを運ぶのを待つ。 せんせいは少し戸惑いながらも、箱の中からチョコを選び、そっとおれの口へと運ぶ。 口の中に広がるチョコの味は、勿論甘い。 「ね、那智君。どうかな？」 「うん、甘くて美味しいよ〜！」 「ホントに？よかった！」 「ね〜、もう1個〜！！」 「もう……仕方ないなぁ……。」 もう一度、せんせいがおれの口へとチョコを運んだ瞬間。 その瞬間にそっと真奈美せんせいを引き寄せ、その唇を奪う――…。 薄く開かれていた真奈美せんせいの口へとチョコを舌で運ぶ。 甘い、甘い口づけ。 チョコのような――… いや、チョコよりも甘いキス――…。 2人の舌の温度でチョコはみるみるうちに溶け出した。 「ッ…ふぅ…ッ……！」 いい加減苦しくなったのか、真奈美せんせいはおれの胸を軽く叩く。 それを合図に、そっと唇を離した。 「もう！那智君！」 「あはは〜！ねぇ、せんせい……。」 真奈美せんせいの耳元に口を近づけて、囁く。 「せんせいも食べたくなっちゃった……。」 「なっ…那智君！！」 顔を真っ赤にして真奈美せんせいはおれを見る。 なぁ、せんせい。 その大きな袋の中には、他の男にも渡すチョコが入ってるんだろ……？ そんなの忘れちゃう位、これからいっぱい食べてやるから――…。 END ･･･････････････････････ *あとがき* 爽やかな甘ったれ那智が書きたくて書きました^^^ これから真奈美ちゃんは、いっぱい那智に食べられればいいと思うんだ＾ρ＾ 読んでくださってありがとうございました！！ 戻る ×
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