独り善がり



「…ッあ…天十郎君ッ…ン…もう…無理ぃ……!」

「もう1回いいだろ?なぁ……」

「…ッ…んぁ…ン…無理だってぇ……!あぁ、もう……天十郎君のアホ――!!!!」


バチーンッ!!

将来のヨメに頬を平手打ちされる。


――俺様が何したって言うんでぇ!!







あれから真奈美とは一言も話してない。

電話も出ない。

千から教わりながら一生懸命打ったメールにも返信がない。


イライラが募る。

訳が分からない。

ムカつく――…。


「天、待ったか?」

「天ちゃ〜ん、MH!マジで 久しぶり」

「てんてん、元気だったナリか〜?」


卒業してから久々にA4で揃う。

でも、正直そんなことどうでもいい。

だって、俺様が今一番気になってるのは――…


「うぉぉぉ――!!真奈美――!!!」

そう叫ぶと、即座に千のハリセンがとんでくる。


「いってぇぇぇ!!!」

「天、他の客に迷惑だ。ここをどこだと思ってる。」

「……ファミレス。」

「分かっているなら少しは静かにしろ。」


そんなこと言われても……

訳わかんねぇんだよ、真奈美が……。


思わず、溜め息をついてしまう。


「わぁー、てんてんが溜め息ついてる!!」

「ちょっと、天ちゃん!どうしちゃったの?」


――こいつらに話してどうにかなる問題か……?

何かバカにされそうな気ィするし……。

でも、ちょっくら話してみっか……。









俺様がこの間の真奈美とのことを話し終えると、4人の間に急に沈黙が流れ出す。

「おい!!誰か何か言いやがれってんだ!!」


「天……」
「天ちゃん……」
「てんてん……」


3人いっぺんに喋り出す。

「あ―!!もう!!1人ずつ喋りやがれ!!!」


「天ちゃん…女性はね、壊れやすいガラスのようなハートなんだよ。」

「天、お前のような体力バカに先生のような女性がマトモに付き合えるわけないだろ。」

「そぉだよ〜!!てんてん、独り善がり!!」

「ひとり……よがり……?」










ファミレスから出て、一目散に走り出す。

向かうはもちろん、真奈美の家――…。


『独り善がり』
カバンに入っていた電子辞書で意味を調べると……

自分ひとりだけでよいと決め込んで、他人の考えを全く聞こうとしないこと(さま)。


――真奈美のことなんかお構い無しで、自分のやりたいようにやって……。



真奈美の家に着き、インターホンを連打する。

間髪入れずに押しまくると、暫くしてドアの向こう側から物音がした。


「はい、今開けます!」


ガチャ………

ドアが開いた瞬間。

真奈美を見た瞬間。

腕を引っ張り、強く抱き締めた。


「て…天十郎君……!?」

「真奈美…!!俺様が悪かった!ひとりよがりだった!!」

「独り善がり……?いつの間に覚えたの?そんな難しい言葉……」


そう言って、俺の腕の中で真奈美はクスクス笑う。


「おっ…俺様だって、そういう言葉の1つや2つくらい!!」


そう言っても、まだ真奈美は俺の腕の中でクスクス笑い続けている。


「真奈美……愛してる……。」

「うん。私も大好きだよ……。」


そっと腕の中にいた真奈美を抱き上げ、ベッドへと運ぶ。


今度は、

今度は"ひとりよがり"にならないように――…。



END



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

*あとがき*
天ちゃんは体力が凄そうなので、真奈美ちゃんは大変なんじゃないかな?という勝手な妄想です^ρ^
天ちゃんは6回とか普通に余裕そうなイメージ☆
↑どんなイメージだよ。

読んでくださってありがとうございました^^*

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