キスの方法



真奈美とキスをした。

卒業式の日、何度も何度も――…。


しかし……

1つだけ問題が発生している。


今まで幾度となくキスをしたが、僕達のするキスは触れるだけのキス。


よくテレビドラマや映画で見掛ける……

舌を入れるキス……

というものは、どういう風にすればいいんだ……?


机の奥底から手鏡を出し、それを見ながら唇をすぼめてみる。

――いや、こんなに唇をすぼめたら舌を入れる隙間がない……。


今度は鏡を見ながら、少しだけ唇を開き、軽く舌を出してみる。

――こっ…こうすればいいのかっ……!?


「兄さ〜ん、ちょっといい?」

ガチャ………

その音と共に那智が僕の部屋へと入ってくる。


「なっ…那智!ノックくらいしろ……!!」

「兄さん…鏡見ながら何してんの……?」

そう言って僕を見る那智の顔は、心なしかひきつっている。











「ふ〜ん、慧はせんせいとベロチューがしたいの?」

「ベっ…ベロ……!?那智、破廉恥だぞ!!」

「え?違うの〜?」

「いっ…いや…確かにそうなのだが……」


――ダメだ。

何だか気まずくて那智の顔が見れない……。

兄弟でこんな話をするなど気恥ずかしいばかりだ……。


「那智、悪いが部屋から出ていってくれないか?」

「う〜ん……ねぇ、兄さん。」

「何だ?」

「やりたいようにやっちゃいなよ〜。そっちの方が女の人は喜ぶよ〜!ばいば〜い。」


そう言って、那智は笑顔で僕の部屋から出ていく。

――やりたいように、やる……?

僕のやりたいこと……


真奈美にキスをして、ベっ…ベロチューをして……そっ…それ以上のことも……。













「慧君?慧くーん?」

「あっ…ああ、何だ?」

「どうしたの?凄く上の空だけど……。」


――何をしているんだ、僕……!!

真奈美とのデート中に、いつキスをしようかと機会を窺っているなんて……!!


軽く周りを見渡す。

真奈美の腕を引っ張り、人気のない路地裏へと誘導した。


「慧君、どうしたの……?」

「真奈美……」

そっと、真奈美を抱き締める。


「慧君……?」

そう上目遣いで真奈美が僕を見た瞬間。

その瞬間にキスをした――…。


勇気がなくて、触れるだけのキスしか出来ない。

一度、唇を離す。


「慧…君……?」

目を瞑って、深呼吸をする。


「真奈美…少しだけ口を開いてくれないか……?」

すると真奈美は俯き、小さく頷いた。

真奈美の肩に手を置き、再び口付けをする。


薄く開かれた口に、恐る恐る舌を入れる。

すると、遠慮がちに真奈美は僕のそれに自分のそれを絡めてきた。

ざらりと舌が擦れ合う感触に、下半身が確実に熱を持っていく――…。


「…んっ…ふぅ…ッ…ん………」


角度を変えると立つ水音。

薄く目を開け真奈美を見れば、甘く溶けそうなその表情――…。

――本当に、愛しい。


唇を離すも、どうしても離れがたくてキツく真奈美を抱き締める。


「慧君……」

「……何だ?」

「下っ……あ…あたってるんだけど……。」

「こっ…これは生理現象だ……!」


そう言い放つと真奈美は笑い出した。


「どっ…どうして笑うんだ……!?」

「何でもないよ。」

そう言って、真奈美はギュっと抱き締め返してくる。


――そっ…それは逆効果だ、真奈美……!


真奈美の腕を引っ張り、再び歩き出す。

「慧君!?どこ行くの……?」

「真奈美の家だ。こんな状態でマトモにデートなど出来るわけがないだろう?」

「えぇー!?そんなー!」


自然と頬が緩み出す。

『女の人は、やりたいようにやった方が喜ぶ。』

那智の言葉はどうやら嘘ではないらしい――…。


今いるこの場が、真奈美の家に近くて良かった。

そんなことを思いながら、真奈美の家へと向かうのだった――…。




END



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
*あとがき*
またこんなの書いてすみませんすみませんすみません
るーの脳内で慧はこんなアホなキャラです|ω^;)
慧が好きだから弄りたいんです(^o^)
すみませんでした、これからも宜しくお願いします……!

読んでくださって、ありがとうございました^ω^!!

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