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天地翔太の執着。(1/7)
高校に入学してからというもの、天地翔太はずっとイライラしていた。
今まで天地は小学校、中学校と年上の女子に絶大な人気を誇っていた。
しかし、高校にはとんだ伏兵がいた。
佐伯瑛。
はね学のプリンスという異名を持ち、学年問わず大人気な2年生。
ムカツク。
いつも天地はそう思っていた。
瑛に憧れている振りをして、瑛と会うといつも挨拶をした。
そんな努力が身を結び、最近は少しずつだけど言葉を交わすようになっていた。
ムカツクから支配したい。
瑛の心も、身体も。
天地自身、別に男が好きな訳じゃない。
でも、瑛の心も身体も手に入れられたら、優越感に浸れることだけは確かだ。
虐げまくって、女子の人気を下げてやる。
これが、当初の天地の目的。
瑛に近づいた目的だった。
そう、当初は――…
「佐伯先輩、こんにちは!」
「あぁ、天地…だっけ?こんにちは。」
「あっ、天地翔太です!」
――チョロい。
モテる割りには、全然女子との噂とか立たないし。
もしかして、ホモ?
だったら笑える。
瑛に声を掛け始めた頃、天地はいつもこう思っていた。
だけど、いつからか……それは本当の憧れに変わっていた。
声を掛けても、嫌な顔一つせずに話してくれる。
成績もいい。
モテる理由が、瑛を知れば知るほど解ってくる。
そんな時だった――…
瑛が女子生徒と2人きりでいるのを見たのは――…
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