gお題 | ナノ
そんな相談俺にされても。
「ねぇ、瑛くん。志波くんのこと、名前で呼びたいんだけど……。」
今日も一緒に下校。
正直、一緒に帰るのが最近は嫌になってきている。
瑠宇の話の大部分は志波のこと。
志波と日曜遊びに行っただとか……
志波とどんな話をしたかとか……
聞かされるオレの身にもなれよ。
いい加減、本気で耐えられない――…。
「……アイツのこと、名前で呼びたいのかよ。」
「うん!」
「でも、志波だってお前のこと苗字で読んでるじゃん。」
「でもさ――…」
すると、瑠宇は照れくさそうに微笑んだ。
「下の名前で呼ぶって、特別って感じがしない?」
――何だよ、それ。
お前、オレのこと何て呼んでる……?
"瑛くん"だろ……?
で、オレはお前のこと"瑠宇"って、下の名前で――…。
違うんだ。
重みが違う。
瑠宇がオレを下の名前で呼ぶのと、
瑠宇が志波を下の名前で呼ぶのとでは――…。
なぁ……?
お前にとって、オレってどういう存在なんだ……?
ただの友達?
都合のいい親友?
それとも――…。
「名前もそうなんだけど……」
自分から話を切り出したくせに、瑠宇は黙り込む。
「瑠宇……?」
「あっ…あのねっ……!」
「何だよ……。」
顔を真っ赤にしながら、オレの方を見る瑠宇。
――何なんだよ……。
今度は……
今度は、オレに何言う気なんだよ――…?
「志波くんと、何か……ちゃんとキス出来ないと言うか……あのっ……。」
――何だよ、おい。
そんなこと、オレに関係ないだろ……?
何でそんなこと、オレに話すんだよ……?
「瑛くん……?」
ダメだ。
お前、何考えてるんだ?
そんな相談オレにして、お前はオレに何を求めてるんだよ――…?
「瑛くん?ねぇ、どうしたの……?」
――"どうしたの?"じゃないだろ……。
オレ、ホントどうしちゃったんだろ……?
今、考えてることがおかしい。
おかしすぎる――…。
「ねぇってば…!瑛くん?」
「……なぁ、志波とちゃんとキスしたいんだろ?」
「えっ?あっ、うん……。」
「オレが練習台になってやるよ……。」
To be continued...
戻る