gお題 | ナノ

プレゼント



「瑛くん、はやくはやくー!」

「そんなに走るなって…。」

「だって、瑛くんと出掛けるの楽しいんだもん!」


――オレと出掛けるのが楽しい……?

違うだろ。

今のお前は、志波へのプレゼントを考えるのが楽しいんだろ――…?


瑠宇と来たのは商店街。

まぁ、色々揃ってるし、プレゼント選びには丁度いい場所だろう。


「瑛くん、これはー?」

「…何だよ、この帽子。」

「じゃあ、これはー?」

「そんなの貰ったって困るだろ。」


さっきから、瑠宇がオレに見せてくるものは、

何というか、貰ってもいらないような物ばかりだった。


「ちゃんと、志波のこと考えて選べよ。」

「ちゃんと考えてるよ!志波くんのこと!」


まぁ、オレなら、

瑠宇からなら、何貰っても嬉しいけど……。



「あっ、これッ……。」

そう言って瑠宇は商品を手に取る。

銀色のしおり――…。


「シルバーブックマーク?……キレイ。ねぇ、瑛くん!これどうかな?」


――いいと思う。

さっきまで瑠宇が選んでいたものとは全然違う――…。


「瑛くんー?」

「あっ、ああ。いいんじゃないか…?」

「ホントにー?」

「……ホントに。」


正直、志波が羨ましい。

こんな風に、瑠宇に色々考えてもらえて。


「…これにする!買ってくるね!」


そう言って、瑠宇はレジへと向かった。


――少しだけでいい。

志波と同じくらいなんて、そんな我が儘は言わない。

少しだけ、少しだけでいいから……

オレのことも考えて欲しい――…。


何でオレ、こんなに瑠宇のことが好きなんだろう……?

最初から判ってただろ……?


"いい友達"なんて無理だって――…。



「瑛くん、おまたせ!」

「……いや。」

「瑛くん、どこか行きたいところある?」

「……特に。」

「じゃあ、帰ろっか?」

「……ああ。」


――今、こうして歩いてるのはオレなのに……。

お前が考えてるのは、今ここにいない志波のこと――…。


「あっ、そうだ!」

何かを思い出したかのように、瑠宇は両手を叩く。

「……何だよ。」

すると、瑠宇は買い物袋から、小さな箱を取り出した。


「今日、買い物付き合ってくれたお礼!」

「お前、いつの間に……。」

「こういうのは、本人にバレないように買わないと!」

「……開けてもいいか?」

「どうぞー。」


箱の中身は、ガラスの一輪挿し――…。


「これ……。」

「ね?どう?どう?」

「スゴく……いい。」

「良かった……!」


――お前に志波なんて似合わないよ。

だって、お前……

志波の趣味よりオレの趣味の方が、絶対良く解ってるじゃん……。


好き。凄く好きだ。お前のこと。

好きって言えれば、どれだけ楽なんだろう……?


でも、オレのこの気持ち……

言えるわけがない――…。



To be continued...

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