gお題 | ナノ
視線の先
ほら、目で追ってる。
気が付けば、いつもそう。
オレも、お前も。
好きなヤツを目で追ってる――…。
好きなヤツと同じクラスって本当に得だ。
こうやって瑠宇と隣の席になれるし……。
でも、隣にならなきゃ気付かなかったこともある。
瑠宇には好きな奴がいる――…。
バレバレなんだよ、バカ。
休み時間の度ごとにヤツを目で追って……
ヤツに話し掛けられたら顔真っ赤にして……
ちょっとヤツの前だと、声のトーンとか変えてみたりして……
ダメだ。
何でオレ、瑠宇なんか目で追ってるんだよ。
友達。
そう、オレ達は友達。
瑠宇がヤツのこと好きだって気付いた時から、瑠宇の恋を応援するって決めた。
そう決めたんだ――…。
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「ねぇ、瑛くん……。」
チャイムが鳴る直前に、瑠宇が唐突に話し掛けてくる。
――ほら、この差。
ヤツの前だと顔真っ赤にして、しどろもどろになりながら喋るのに……
オレの前では至って普通。
ムカツク……少しだけ。
「……何だよ?」
「化学の教科書忘れちゃった……。一緒に見せてもらっていい?」
「ああ、別にいいよ。」
すると、瑠宇は机をくっ付けてきた。
授業が始まり、瑠宇がオレの教科書を眺める。
今、オレと瑠宇が見ているページは同じ。
でも、オレ達のは別のヤツを見てる。
オレは、お前を――…。
お前は、志波を――…。
なぁ?
その視線の先が、他のヤツに向くことってあるのか?
まだ、オレにチャンスはあるのか――…?
To be continued...
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