hope(1/7) 今日は社会人になって初の給料日。 銀行でお金をおろし、急いで家へと向かう。 ――今日は真奈美も奇跡的に補習がないらしいし……! 思わず緩んだ顔を、叩いて引き締め歩き出す。 その帰路の途中で、"あるもの"が僕の目に飛び込んでくる。 ショーウィンドウに飾られた"あるもの"――…。 導かれるようにして、店内へと入った。 「ありがとうございましたー!!」 ――買ってしまった……! しかし…… 再び頬が緩み出す。 またそれを引き締め、早歩きで家へと急ぐ。 「慧君、おかえりなさい!」 「あっ…ああ。ただいま。」 ――いつになっても慣れないな……。 "おかえり"と"ただいま"の挨拶は……。 実に照れくさいものだ――…。 「あれ?ねぇ、慧君。その袋、何?」 僕の右手に持っている買い物袋。 真奈美はそれが気になっているらしくて。 「ああ、これか。買ってきたんだ。お前に似合うと思って。」 「私の?嬉しい!ねぇ、見てもいい?」 「ああ。気に入ってくれるといいのだが……。」 笑顔で袋を開ける真奈美――…。 最初は笑顔だった。 しかし、だんだんとその顔は曇っていく――…。 →次へ 戻る ×
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