所詮、高校生なんてまだまだ子供だから。
上手く立ち回る術を知らないんだ、
だからこれは悪いことじゃない、
そう言い聞かせて、今日も準備を整える。
「黒子」
「…先輩」
下駄箱で一人佇む黒子の手は泥だらけ、しきりに手で払う上履きも泥にまみれて。
「今日もか」
「………はい、」
大丈夫か、と尋ねる前に、
少しだけ笑みを浮かべて、大丈夫です、と小さく呟く。
引き攣った笑顔、止まった腕にそっと触れると微かに震えていて、動揺が伺える。
「大丈夫だから。俺が守ってやる」
「先輩…」
なんて、
言える立場にないことは百も承知だ、
見上げる黒子の目はあまりにも澄んでいて、
どす黒い自分を、そんな綺麗な目で見ないでほしい。
泥のこびりついた指を後ろ手に隠す。
「黒子、今日うちに泊まりに来ないか」
しなった枝を折ってしまうことは造作もない事だ、
でも、折れそうな枝にそっと寄り添えば、こちらに全てを傾けてくれる。
「…はい」
顔を赤らめてはにかむ、
仕込んだ理由からだったとしても、
そうして君が寄り掛かってくれるのなら、何も厭わない。
「…っん、ぁ」
羞恥に顔を染めて口元を手で覆う。
「声、出していいぞ」
「駄目です、恥ずかし…っぁ!」
先端を強く吸うと腰が跳ねる。吸いながら根元をしごくと溢れるカウパー液、舐めとったそれは、甘くて苦い。
「…ん、っ…は、だめ、…っ」
腰が前後に揺れ始めた。真っ赤に染まった顔で、髪を掴みながら。
「だめ、離してくださ、っぁ、ぁ…!」
口に含んで上下に動かす。頭を退けようとするから速さを増すと、髪を掴む腕がぶるぶると震え始める、
「…で、ちゃう、…っぁぁ!」
口の中でぶるりと震えたそれは、大量の精子を吐き出した。生々しい匂いとぬめる液体が咥内に充満する。
「…ごめんなさい、…出して…」
見上げると赤く潤んだ瞳。どこまでも綺麗で澄んでいる。
こうして一人、泣き腫らしているんだろうか、
毎日起こる『嫌がらせ』を思い出しながら。
…全て俺がしたことなのに、
「っあ…!やぁ、っぁ…」
精子を潤滑油代わりに、舌で穴に流し込む。
「っや!…ぁ、ん」
指を差し込むと、精子のぬるりとした感触、簡単に飲み込む熱い内壁。動かすとぐちゅぐちゅと音がする。自分が出したものの音と分かっているからか、さらに頬を朱く染めた。
「黒子、自分で入れてみて」
「……や、です」
いいから、とたしなめて上に跨がらせる。
おずおずと乗った黒子の腰を掴んで、穴に先端を当てる。
「っん、…」
少しぶつかっただけで、くちくちと立つ水音、次第にゆっくりとくわえ込んでいく。
「黒子、力抜いて?」
「…は、い」
全体重が預けられたのを確認して、腰を掴んでいた両手を離す。
瞬間、重力に負けた腰ががくんと落ちて、
「っひ、あぁぁ!」
「っ、」
ずぶずぶと飲み込まれる感触に声を出してしまいそうになる、
入っていく瞬間の表情がいやらしくていつも凝視してしまう。痛みと快楽に歪んだ顔。
見ると、先程吐き出したばかりの黒子自身は、また頭をもたげていた。
「っあ!あっ、ゃ、ぁん…っ」
あんなに我慢していたのが嘘のように、突き上げる度に上がる高く甘い声。
「…あんなに、恥ずかしがってたのにな、…っ」
「やめ、っぁ!やぁ、ああっ」
先走りが黒子自身を伝って結合部を熱く濡らす、ふやけそうになったそこは打ち付ける度にぐちゅぐちゅと水音を出す。痛がっていたあの頃が嘘みたいだ、そう思うと笑ってしまった。
「っなに笑って、…っぁ、んっ」
「いや、やらしい顔してるなと思って、」
「っ!ぁ、…やぁぁっ」
瞬間的に真っ赤に染まった頬、その隙に一層強く突き上げると、バランスを崩して倒れ込んできた。
抱き着かれたみたいで嬉しいから、そのままピストンを続ける。
「っん!…ぁ、あんっ…!」
ある一点でより高い嬌声が上がる、
「っあ、ぁ!っやぁ、も、っと…っ」
触れ合う肌は互いに汗ばんで、耳元で響く喘ぎに高ぶって、顔を引き寄せ口づける。
「…っふ、ぅん…っ」
咥内で絡まる舌が熱い、
溶けてしまえばいいのに、
そうしてひとつになれてしまえばいいのに。
「っぁ、先、輩」
息も絶え絶えになりながら、必死に身体を起こす、同じ目線。
「っ好き、……好きっ…」
「っ…!」
目尻から涙を流して抱き着きながら、好き、と繰り返す言葉の中に絶え絶えに混じる喘ぎ声、それだけで達してしまいそうになる、
「……俺も、…っ」
「っふ、…ぅ、んん…っ!」
夢中で口付ける、咥内を掻き回すと必死に応えて絡み付いてくる熱い舌、蜜を零し続ける黒子のものを掴むと、限界が近いのか、甘い声を上げて身体をよじる。
「っ中、出していいか、」
息も絶え絶えに頷いて口を開く、
「…一緒に、イきたい、……っ」
その言葉も口にする時の表情も、そのいやらしさは興奮材料にしかならない、もっと淫靡な言葉を言わせたくなる。
「っぁ!ぁっ、ぁ、っやぁん…!」
打ち付ける速度を上げる、がくがくと震える身体、肩を掴む手に力が入る、
「っ出すぞ、…」
「っぁ、あ…っ、…あぁ、っ…!」
「…先輩、」
「ん?」
気怠さが身体を包む、それは黒子も同じようで、それ以上は喋らずに。
「好きです」
身体を擦り寄せながら小さく呟く。
「皆がいる時とはえらい違いようだな」
軽く茶化してみても否定はしない、少し汗ばんだ腕を首に絡ませて薄く笑う。
唇を重ねるとお互いの髪が頬に当たって、それがくすぐったいのかクスクスと笑う、その仕草も愛おしくて。
好きなんだ、本当に、
誰にも触れさせたくないくらい。
唇が触れるこの瞬間、世界が止まってしまえばいい。
「黒子」
神様、どうか、
これが欺瞞に満ちた恋だと、
どうか彼が気付きませんように。
求めて欲しいから、寄り添い続けて欲しいから、
そんなことが理由にならないことくらい、本当はとっくに分かっている。
それでも掻き抱く腕に力を込めて、
背中に回された手の温もりだけは奪わないで欲しいと。
「…好きだ、本当に、」
願い続ける、
たとえ無神論者の戯れ言と言われても。
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叶えたはずの望み、なのに、罪の意識に苛まれる。
アンケートで頂いた、『腹黒な木吉が黒子を自分に依存させる』というのを頂きました。
素敵なシチュをありがとうございました!