ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
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「おまえの勉強はいつもとてもいいかげんだ。
そんな生半可なおまえに、どれ程の星の力が集められたと思っているのだ。
それに、おまえのごとき半人前の天使に、人間の生死をどうにかする力があるとでも思っているのか?
思いあがりも甚だしい!」

私は呆然とアルヴィル様を見上げた。



「残念だが、ロザリーの死は最初から決まっていたのだ。
だからこそ、ロザリーにはさよなら星が見えた。
あの子が父親似会いたいと祈ろうが祈るまいが、おまえが手助けをしようがしまいがそれは変えられないことだったのだ。
あの子は利発な子だ。
今頃は、自分の死を受け止め、受け入れていることだろう。」

「でも…私は……」

私は自分の浅はかさに打ちのめされ、また涙が流れ出した。
何もわかってなかった私が…
身のほどをわきまえなかった自分のことが恥ずかしくて、申し訳なくて、アルヴィル様の顔をまともに見ることが出来なかった。




「アルヴィル様…本当に申し訳ありません。
私……思いあがってました…」

「その通りだ。
おまえはろくに修行もせずに、禁じられた地上へ度々訪れた。
だからこそ、こんな辛い想いもした。
……だが、ひとつだけ良いことがあった。
おまえは、この度身をもって理解出来たのではないか?
自分の想いだけで行動することが良くないことだということが。
そして、修行の必要性を…」

私はアルヴィル様の言葉に深く頷いた。



「……はい。
アルヴィル様、今度こそ、私、心を入れ替えて修行します。
本当に人間を助けられる天使になれるように…」



それからの私は地上に降りることなく、真面目に勉強に励んでいる。
ロザリーのことを胸に刻み、いつか本当に人間の役に立てる日が来る事を夢見ながら…



〜Fin

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