ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ



「わ…わかってるよ、そんなこと。
それよりも、何か手立ては思い付いたのか?」

「手立てって…何のさ?」

「だから……僕達は過去に来てしまってるんだぞ。
それをなんとかする手立ては何か思いつかないのか?
つまり、元の時代に戻る方法だ!」

アルルは、カルフの顔をみつめ、小さな溜め息を吐いた。



「あのねぇ…よく考えてみなよ。
私達は、今、自分たちがどこにいるかもわからない状況なんだよ。
バンナーにも戻れないのに、なんで元の時代に戻れるんだよ。」

アルルの言葉に思わず頷きかけたカルフは、慌てて首を振る。



「そ、そんな…
君は、心配にならないのか!?
僕達は、違う時代に飛ばされてしまったんだぞ。
それがどういうことかわかってるのか!?」

「わかってるよ。
でも、今、私達はこの時代にいて何か問題があるとでもいうの?
何も問題なんてありゃしない。
この世界にもうまい酒はある。
あんたが買って来たこの酒はお世辞にもうまいとは言えないけどね…
私から勝手にあの大切な酒を奪いとっておいて、せめて、もう少し良い酒を買ってやろうって気にはならなかったの?」

「ならないね!
君は底無しだからな。
高い酒なんて買ってたら、路銀がすぐに底をついてしまう。」

「あぁぁ、やだやだ。
男のクセに、何かっていうと、すぐに金のことばっかり。
しみったれてるったら、ありゃしない。
だいたい、あんたがもっと強い剣士だったら、魔物退治なりなんなりして路銀なんてすぐに稼げるはずじゃないか。
あんたなんかと知り合ったせいで、私は酷い目にあってばっかりだ…」

「お、お、おまえ〜〜〜……」

カルフの食いしばった歯の間から、苦々しい声が漏れ出した。
握り締めた拳には力がこもり、その身体は激しい怒りのため小刻みに震える。



「ひ、酷い目にあってるのは」

「あ、クラウド達が帰って来た!」

アルルの振り上げた酒瓶が、声を上げようとしたカルフの顔面を直撃した。



「あ…っっ!」



クラウドとヴェリエルのみつめる前で、カルフハばったりと前のめりに倒れ込んだ。


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