ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ







(……あの噂は本当だったんだ…
ここは、天国の灯台に間違いない…)

アーロンは、階段の踊り場にしゃがみこみ、大きく肩を動かしながら時間をかけて息を整える。



外から見ると、そう高くはない灯台だった。
中に入り、階段を上り始めた時にはすぐに灯塔に辿り着くと思えたが、おかしなことにどれほど上ってもなかなか辿り着けない。
見上げた先は、この灯台の中に入った時と全く同じように見えた。



(一体、どうなってるんだ?これほど上ってもまだ着かないなんて…)

噴き出す汗を拭い、アーロンは恨めし気に螺旋階段を仰ぎ見る。



灯台の内部に光源らしきものは見当たらず、壁には窓もなかったが、それでも闇に閉ざされることはなかった。
どういう仕組みなのかはわからないが、ほのかに明るく、階段を上がるのには何の不自由もない。
ところが、外が明るいのか暗いのかが見えないために、今が昼なのか夜なのかがわからず、自分がどのくらいこの無駄とも思える行為を続けているのかもわからなかった。
ただ、その疲労の具合から、アーロンは相当な時間が経っていることを推測出来た。

だが、それでもアーロンは降りる気にはなれなかった。
これだけ上ったからには下りるのにも時間はかかるだろうが、そんなことよりも、自分の行く場所はこの上にしかないと…その悲壮とも言える強い想いがアーロンを突き動かした。

アーロンが感じるのは不思議なことに疲労だけ。
眠気も空腹も感じない。
それは明らかに異常なことで…
アーロンは、ようやくここが現実とは違う空間なのだということを実感した。









そして、アーロンが階段を上り出してどのくらい経ったかもわからないある日…
アーロンの目の前に一枚の扉が現れた。



(つ…着いたのか…?
ここを開ければ、僕は、天国に行けるのか…?)

強張った足を懸命に踏ん張り、アーロンは震える手でゆっくりと取っ手を回す。


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