ルカの赤い箱…お礼企画 | ナノ
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「おまえはいつもこういうものを食べているのか?」

「はい…」

「こういう味が好みなのか?」

「……やっぱり、おいしくないですよね?」

キャロラインが持って来たのは、焦げたたまごと野菜をはさんだ味のないサンドイッチ、そして口触りの悪い魚臭さの残る魚のフライだった。



「そうか、こういうものが好きなわけではないのだな。」

「はい。
私…今まで全然お料理なんてしたことがなくて…これでもなんとか出来るようになった方なんですがやっぱりうまくできなくて…」

キャロラインは食べかけのサンドイッチを手に持ったまま、肩を落として俯いた。



「そうか…誰しもやったことのないものはうまく出来ないのは当たり前だ。
だが、どんなことでも、教わり、努力すればやがては出来るようになる。
たとえば、この魚はなぜこんなに舌触りが悪いかわかるか?」

キャロラインは、黙ったままで首を振る。



「おまえは鱗を取っていないだろう?
口を刺すのはこの鱗のせいだ。
それに内臓も取っていないな。」

そう言いながらも、ギディオンは魚のフライを口に運ぶ。



「あ……無理しないで下さい。」

「私は魔物なのだぞ。
このくらいなんともない。
……しかし、こんなものを食べていたのでは、おまえは腹を壊したのではないか?」

キャロラインは、その言葉に頬を染め俯いた。



「ちょっと待ってろ。」

席を立ったギディオンは、しばらくすると湯気の立ち昇る料理を手に戻った。



「さぁ、食べろ。」

「これは…?」

目の前に置かれた食欲をそそる彩りと鼻をくすぐるにおいに、キャロラインは興奮で胸が震えるのを感じた。



「良いから食べろ。
その代わり、私はこれをいただく。」

「あ……」

ギディオンは、キャロラインの作ったまずい料理にかぶり付く。
キャロラインは、そんなギディオンにすまなさと嬉しさの入り混じった気持ちを感じながら、目の前の料理に手を着けた。



「……おいしい!!」

嬉しそうな顔で頬を高潮させギディオンの作った料理を頬張るキャロラインに、ギディオンは目を細めた。



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