結局、ミカエルの思惑通りには行かず、数日後、ミカエルはガーラとシーサーを連れてフィンラの国を目指して旅立つことになった。







「まぁ〜〜!
なんて綺麗な所なんでしょう!」


窓から見える景色は、まるで絵画のようだった。
青く澄んだ空はどこまでも広がり、その下に肥沃な森が広がる。
ファンタジー映画のロケに使えそうな素晴らしい景観だ。


しばらくすると、フィンラの城が二人の目に映った。



「す、すごい!
ノルディーナのお城とは格が違うわ!!」


馬車から降り立つミカエル夫妻に、使用人たちは一瞬たじろいだ。



(あれが噂のオニガワラだな!)

(本当に、ミカエル王子は噂以上にマニアックだな。)

(写真で見るよりデカイな!)

(あとで写メ撮っとこうっと!)



「ミカエル〜〜!!」

手を振りながら、カパエルが笑顔で出迎える。



「ひさしぶりだね!ミカエル!
わぁ!ミカエルの子供は大きいんだね!
もう10歳くらい?」

「馬鹿かおまえは!
あれから10年も経ってねぇだろ!
まだ5ヶ月だよ!」

「えーーーーっっ!そうなの〜?でっかいね〜!
それにオニガワラさんと同じ怖い顔だね!」

「うるせぇ!怖い顔で悪かったな!」

「すみません、カパエルに悪気はないんです。
カパエル、オニガワラさんのことを怖い顔って言っちゃだめでしょ!」

「ごめんなさい……」




「あ、アンジェリーヌ……」



アンジェリーヌは以前と変わらず白い薔薇の花のように気高く美しく…
ミカエルの視線はそんなアンジェリーヌの一点に釘付けだった。



(や、や、やっぱりだ!
あの頃よりさらにでかくなってる…!
Fカップ?Gか?それともH…?えっち…えっち?えっちーーーー!!!)



「ミカエル、どうしたの?鼻血が出てるよ!!」

「えっ!」

「ちょっと、あんた!!」

「お、お、お、俺は、な、な、なんも見てねぇぞ!なんも妄想してねぇぞ!」




ドスッ…



必死で取り繕うミカエルのみぞおちにガーラの重いパンチが入る。



「うっっ!」

「ミカエルが疲れたようなので、ちょっと休ませていただけますか?」

「は…はい、では、こちらへ…」

気を失ったミカエルをひょいと片手で背中に背負い、ガーラは部屋へ消えて行った。



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