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「うわぁ…」

ほかほかと温かい湯気を立てるオムライスを見て、私はそれ以上何も言うことが出来なかった。
シュウの作ってくれたオムライスは母さんが作ってくれるものとはちょっと違ってて…よくグルメ番組で目にするたまごが魅惑的にとろとろのあのオムライスだった。



「どうした?早く食べろよ。
もしかして猫舌なのか?」

「そうじゃないけど……
ね、ね、シュウ、もしかしたらこれってごはんの上にたまごをのっけて、ナイフで切ってとろとろ〜ってなる、あれ?」

「……なんて表現だ…
ま、確かにそうだけど…」



(やっぱり…!)



「わぁ…見たかった…
今度は切るとこ見せてよね!」

「あぁ、良いよ。
そんなことより…」

シュウが言葉を言いきらないうちに、私はそのオムライスを口に運んでた。



(う……お…おいしい!)



母さんの作るオムライスと味が全然違う!
ごはんに入ってるのはたまねぎと鶏肉だから同じだけど、これは赤いごはんじゃない。
きっとバターライスなんだ。
そういえば、母さんのオムライスはケチャップがかかってるけど、これには茶色いソースがかかってる。
だから味が違うんだ…!

私は、オムライスの観察をしながらも、その間、手と口が停まることはなかった。



「……早っ!」

シュウが驚くのも無理はない。
まだ、シュウのお皿には半分くらいのオムライスが残ってる。
なのに、私のお皿には一粒のごはんも残ってないんだから。
しかも……正直言って、まだ食べたりない!



「……その顔は、まだ足りないって顔だな。」

シュウに心の中を見透かされ、私は、焦って首を振る。



「ま、もりもり食べてくれたのは嬉しいけど、ひかりはちょっとカロリー取りすぎだからな…」

そう言って、シュウは笑いを噛み殺すような顔で私をみつめた。



「わ…私、べ、別に足りないなんて…」

「……でも、今日は草むしり頑張ってくれたし…特別だぞ!
……はい、あ〜ん!」

シュウはそう言って、自分のオムライスを一口すくって差し出してくれた。
普通なら遠慮する筈なのに、私は差し出されたオムライスに反射的に口を開けていた。
あぁぁ…やっぱり、おいしい…!



(ハッ!私ったら、なんてことを…!)



今まで若い男性にあ〜んなんてしてもらったことのなかった私は、我に返った瞬間、とても恥ずかしくなって俯いた。



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