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(詳しいことは、明日の朝話すから。
それまで母さんとはなるべく話さないようにしろ。
それと、携帯もいつのぞかれるかわからないから、うかつなことはメールするなよ。)

(わかった。)




それだけを小声で話すと、兄さんは下へ降りて行った。
まさか携帯まで…とは思ったけど、今の母さんならやりかねない。
注意しなきゃ。
とにかく、兄さんが味方についててくれるんだから、大丈夫!
そう言い聞かせて、私は無理矢理眠りに就いた。







(あ〜あ…)

私は母さんを横目で見ながら小さな溜め息を吐いた。


次の朝、母さんだけはシュウの作った朝ご飯を食べるのを拒否して、わざとらしくカップ麺をすすっていた。
普段はインスタントは好きじゃないとか言ってるくせに、どこまで頑ななんですか……
我が親ながら、呆れてしまう。



「美幸、そろそろ時間だろう。」

「え?あ…あぁ、そうだね。」

いつもより少し早かったけど、兄さんにはなにか考えがあるのだろうと思って私はそれに従った。



「いつもはシュウが送ってくれてるんだけど、母さんが心配するだろうから、今日は俺が送っていくよ。」

兄さんは母さんにあてつけるようにそう言った。



「あ…ありがとう。」

「……私も行きます。」

立ちあがったのは私と兄さんだけではなく、母さんもだった。



「あ…俺なら、畑に行きますから。」

シュウは、母さんが自分と二人っきりになるのをいやがってるんだと思ってそう言ったんだと思う。
母さんはちらりと冷たい目でシュウを見てから私の方を見て言った。



「あなたのバイト先も確認しておきたいから、一緒に行きます。」

「そんな急なこと…!」

「見るだけだったら、なにも問題ないでしょ!」

どうしよう。
母さんのことだから、見るだけで終わるとは思えない。
お店に来ていろいろ聞くかもしれないし、もしかしたらこんな店やめろなんて言い出すかもしれない。



「……わかったよ。
じゃあ、俺が案内する。」

「あなたは来なくて良いわよ。
私は美幸と一緒に行くから。」

兄さんはそれには何も答えず、ハイヤーに電話をかけて迎車を頼んだ。

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