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シュウに対するやつ当たりのような怒りやら、母さんが急に来た事、打たれたことでの驚きやら、わかってもらえないことへの苛立ちやらなんやらが一気に込み上げてきて、半ばパニックになった私は突然声をあげて泣き出してしまった。



「泣いたってどうにもならないわよ!」

そんなこと言われなくてもわかってる。
私だって泣きたくなんかない。
自分でも情けないと思うけど…私は母さんみたいに強くない。
どうしたら良いのかわからなくなると、自然とこうなってしまって…自分でもコントロールが効かなくなるんだもん。



「明日、家に帰るのよ。
ここでのことはすべて忘れてしまいなさい。」

「か…勝手なこと言わないで!
私は、家になんて帰らない!」

「美幸!あんた、まだそんなこと言ってるの!?
この男はね、住む所がなくてここへ転がり込んだだけなのよ。
この男の目的はあんたの身体とお金だけなのよ!
きっと、なにか悪い事でもして……」

「やめて!
シュウのこと、なにも知らないくせに勝手なこと、言わないで!」

「……ひかり…良いんだ。」

シュウは、哀しそうな顔で、もう言うなとばかりに首を振った。



「良いことないって!
……母さん、私達…母さんが考えてるような関係じゃないよ。
私は、母さんと違って晩熟だから…好きになったって、一緒に住んでるからって、すぐにそんなこと…出来ないよ。
シュウも、わかってくれてるから、無理になんてしない。
私は母さんとは違うんだよ。
全然違う人間なんだから…母さんと一緒にしないで!」

「あ…あんた……」

母さんはまるで信じられないものでも見るように、私に焦点の合わない目を向けた。



酷いことを言ってるのはわかってた。
母さんは、今の私の年で兄さんを産んだ。
それが悪い事だと言ってるわけじゃないんだけど、やっぱり私からすればすごいことだ。
しかも、母さんの時代だと、今の時代と違って学生のうちに妊娠なんて大変なことだったと思う。
詳しいことは聞いたことはないけど、もしかしたら産むことを反対されてたかもしれない。
でも、母さんはどんな時にも自分の意志を貫く。
それはきっと母さんが強い人だから出来たことだと思う。
結婚には失敗したけれど、その後も母さんは立派に兄さんを育て上げた。
優秀で、強くて……
私とはまるで違う……
どんなに頑張っても、私は母さんみたいになれない。
そんな母さんに、私の気持ちなんてわかるはずがない。


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