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セリナの言っていた通り、ラスターの態度は時間が経つ毎にいつもの落ちつきを取り戻していった。







「いよいよ、明日にはロンダリンの町に着けそうだな。」

「セリナを追いかけてる奴らにも見つかってなさそうだね。」

「で…ロンダリンに着いた後はどうするつもりなんだ?」

ダルシャの言葉に、四人は顔を見合わせた。
とにかく、セリナを追っ手の目から逸らすためにロンダリンの方向を目指したが、それから先の事は誰も考えてはいなかったのだ。



「えーーーっと…確か、ここがロンダリンの町だよな?」

フレイザーは地図を広げ、一点を指差した。



「そうだ。
今いるこの町は、この地図には載ってないがだいたいこのあたりだな。」

続いてラスターがロンダリンの手前を指差す。



「ロンダリンからはけっこういろんな町に通じてるんだな。」

地図を見ると、ロンダリンの先にはすぐに分岐点があるようだ。
山にもごく近い。



「しっかし、この地図はいい加減だな。
今度はもう少しまともな地図を買った方が良いのではないか?」

「そういや、ダルシャは地図を持ってないのか?」

「……私には、そんなものは無用の長物だ…」

「そうだよな…地図を見たってどっちが北なのか南なのかもわからないんじゃ、宝の持ち腐れだよな。」

ラスターは、肩を震わせて笑いを押し殺す。



「ロンダリンならもっと良い地図が売っているだろう。
私が購入しよう。」

「そうだな、金のかかることは貴族様にお任せするとしようか。」

ダルシャは、刺々しいラスターの態度に苦笑するだけで、何も言い返しはしなかった。







「あれが、ロンダリンの町か…」

「……大きな町だな…」

五人は、夕暮れ近くになってようやくロンダリンの町に着いた。
ラスターは、これほど大きな町は初めてらしく、どこか緊張しているように見えた。



「まずは、宿を探そう…」

町の中を行き交う大勢の人々に、ラスターは圧倒されているようで口数も少ない。



「あ、あそこに宿屋があるよ!」

大通りに面した場所に宿屋をみつけ、五人はそこを今夜の宿にすることに決めた。
これまで通り、ラスターは一人で、そして、フレイザーとダルシャ、エリオットとセリナが相部屋となった。


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