「なぁ、あんた、ダルシャのこと、どう思う?」

夕食後、ラスターはフレイザーを人気のない場所に呼び出していた。



「何かわけがあるんだろうな。
ここに来た日の夜中、カルヴィンさんとダルシャが何か深刻そうに話をしてたのをエリオットが見たって言ってたぜ。」

「やっぱりそうか。
カルヴィンは、ダルシャのことを悪い人じゃないって言ってたけど、あいつに金か何か掴まされてそんなことを言ったんじゃないだろうか?」

「おいおい、カルヴィンさんはエルフだぞ。
そんなことあるもんか。」

「金じゃなくても何かエルフにとって価値のあるものを差し出したってこともあるかもしれないぞ。
なんせ、あいつは金持ちなんだから金に物を言わせてエルフのほしがるものを手に入れることだって出来るんだ。」

「ラスター、それは考え過ぎだ。
カルヴィンさんはそんな人じゃない。」

「なんでそんなことが言える?
知り合ってまだ何日も経ってないんだぞ。」

「じゃあ、おまえはセリナのことを信じてないのか?」

「……えっ?」

「カルヴィンさんはセリナが信頼してる人だぞ。
一年もの間、ここのエルフ達は彼女を保護してくれたんだぞ。」

フレイザーのその言葉に、ラスターの声は止まった。



「おまえがダルシャのことを嫌う気持ちはなんとなくわかる。
ダルシャに何か事情があるのも確かだ。
でも、そんなことどうだって良いじゃないか。
俺達の目的は願いの石をみつけることと、セリナを守ること。
ダルシャがいてくれたら、助かるのは事実だ。
いや、いなかったら危ないことになるかもしれない。
だから、一緒に行くんだ。
何もダルシャと仲良くなれとか、奴のことを好きになれなんて言ってない。
……俺の言いたいことがわかるか?」

ラスターは一瞬の間を置いて、頷いた。



「ようし、その調子だ!」

フレイザーは、ラスターの背中をぱんと叩く。



「それにカルヴィンさんも言ってたじゃないか。
ダルシャの事情は『あわてなくてもそのうちわかる』って。
その日を楽しみにしてようぜ!」

「そうだな。わかったよ。」

ラスターはすっきりしたような笑顔でフレイザーを見上げた。


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