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「セリナ!!」
二人の笑い声で気が付いたのか、ラスターが起きあがり目を丸くして二人をみつめる。
「セリナ!そいつから離れろ!」
ベッドから立ち上がろうとするラスターの腕を、ダルシャが掴んだ。
「どうやら、君の勘違いだったようだ。
彼女はここでエルフ達に保護されてたそうだぞ。」
「なんだって!?」
その言葉に、ラスターはダルシャの顔をじっとみつめる。
「ダルシャ、あんた、さっきの話を聞いてたのか?!」
「あぁ、私が最初に目覚めたのでな。
どうやら君の身体がクッションになってくれたらしい。
おかげで私は見ての通り、なんともない。すまなかったな。」
そう言って、ダルシャはフレイザーの方に片目を瞑って微笑んだ。
ダルシャは、ほとんど怪我もしてないらしく、服が少し破れたり汚れてる程度で、何事もない様子で部屋を歩いていた。
「ひどいなぁ…
それでエリオットは?」
「……僕なら大丈夫だよ。」
フレイザーの背後からエリオットの声が聞こえた。
フレイザーは、後ろを振り向こうとしてまたうめき声を上げ、エリオットは慌てて前に回り込んだ。
「フレイザー、大丈夫!?」
「動いちゃ駄目です。
あなたが一番酷い状態だったんですよ。」
「……そうみたいだな。」
フレイザーは眉間に皺を寄せながら、ぽつりと呟く。
「おい、ちょっと待てよ。
セリナが保護されたっていうのは…」
「ラスター、久しぶりね!何年ぶりになるかしら?
あなたがここに運ばれて来た時はびっくりしたけど…でも、元気そうで良かったわ!」
「……元気じゃないんだけど…」
「あ…そうだったわね。
あなた、足の指が折れてたのよ。
でも、大丈夫。すぐに良くなるわ。」
(ラスターの言ってた通り…セリナってなんだか、変わった子だな。
それにすっごい美人だ…)
フレイザーは、ラスターに向かってにっこり微笑むセリナを見ながら、顔を綻ばせた。
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