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「君って人は本当にデリカシーがないっていうのか、なんていうのか……
そりゃあ、ボクだって恋愛経験なんてないけどさ。
それにしたって、そんな風に言われたんじゃたいていの女の子は脈がないって思うんじゃないかな。
いや、脈がないだけじゃなくて、なんとなく気を遣われてるような感じに思われそうだね。
ジャックなんて特にわけありだから…」
「だ、だって、本当のことだから仕方ないじゃないか!
だったら、俺も好きだって言わなきゃだめだったってことなのか?!」
半ば、喧嘩越しの物言いで、フレイザーはエリオットに詰め寄った。
「う〜ん……言わなきゃだめってわけじゃないとは思うけど…
でもさ、全く好きじゃないって以外は、告白されたらたいていはつきあうんじゃないかな?
ほら、マイケルだって……あ、君は知らないか…
確か、二年前だったと思うけど、マイケルがプリシラに告白された時、すごく迷ってボク達に相談して来たんだ。
嫌いじゃないけど、特別好きってこともなかったらしくって、どうしようってね。」
「え…?でも、プリシラとマイケルはクラスでも一番のラブラブカップルじゃないか。」
「そうなんだ。だけど、最初からそんなにラブラブだったわけでもないんだよ。
誰だったか忘れたけど、嫌いじゃないんだったら一応つきあってみれば良いんじゃないかって言ったんだ…ハリーだったかな?
それで、マイケルはOKして付き合うようになったんだけど、そしたら、そのうちにマイケルの方がプリシラにぞっこんになってしまったんだ。」
「プリシラは美人だし、センスも良いもんな。」
「それが当時はそうでもなかったんだよ。
プリシラはクラスでも全然目立たないおとなしい子だったのに、マイケルと付き合うようになってからどんどん綺麗になったんだ。
恋する乙女の奇蹟だなんて言ってたんだけどね…
それだけじゃない。
マイケルもとても優しくなったし、あのカップルはきっと相性が良かったんだね。
つまりね…きっと付き合ってみるとようやくわかるようなことだってあると思うんだ。
ほら…付き合うって決めた瞬間、見る目が変わるじゃない。
ただのクラスメイトだと思ってたら見逃してしまうようなこともあれこれ見えて来るかもしれないし、相手に興味を持てばとにかくいろんなことがわかってくるから…」
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